草木染 山崎広樹×採石場 大蔵山スタジオ『FUYU-HIRAKI project-』は、おかげ様で盛況のうちに終了いたしました。 各イベントにご参加いただいた皆様、作品を手に取ってくださった皆様、オンラインでご覧になられた皆様に心より御礼申し上げます。
伝統を新たな視点から見つめ直し、
未知の化学反応を起こすことで、染織の可能性を啓く-
銀座もとじの「HIRAKI project」によるイベント開催のお知らせです。
第1回目は宮城県を舞台とした「草木染×採石場(大蔵山スタジオ)」。
宮城県南部の阿武隈山系北端に位置する標高300mほどの里山である大蔵山は、2000万年の歴史の中で二度も海に沈んだといわれます。大地と自然の畏怖を感じる場所で、悠久の時が作り出した土を用いた染織の可能性を探る、未知の体験。「大地に還る草木染」を研究されている山崎広樹を大蔵山に招き、新たな化学反応を引き起こします。
山崎広樹作 大蔵寂土や草木を染料とした着尺
懇親会
お茶で寛ぎながら、大蔵山スタジオの展示の雰囲気を味わって頂きます。山崎広樹さんの作品はもちろん、染めた大判の布や、染料の木、土、石の展示、大蔵山のプロダクトなども展示いたします。
日 時:11月17日(木)18時~20時【開催終了】
※19時15分よりトークイベントを開催します。
場 所:銀座もとじ 和織・和染(無料)
ぎゃらりートーク
染色家・山崎広樹氏をお招きし「染織の可能性を求めて」をテーマにものづくりのお話を伺います。
日 時:11月19日(土)10時~11時【開催終了】
場 所:銀座もとじ 和織・和染
定 員: 40名様(無料・要予約)
EXHIBITION OUTLINE
|タイトル| FUYU
EXHIBITION CONCEPT
夏-人間が自然の中で生命をいただき、生きる季節
冬-人間が自然を畏れ、自らを清め、新たな季節を生きる霊魂を増やす季節
「冬ーFUYU」とはふゆる、ふえるを語源とする言葉である。
自然への畏怖を忘れず、自然のふところに還り、たましいを再生させる「FUYU」のはじまり。
大蔵山は、私たちの身体に原初の感覚を呼び覚まし、拡張させる。
11/6(日)に宮城県・大蔵山スタジオから現地ツアーの様子をインスタライブ配信。以下よりアーカイブでご覧いただけます。
※10/19(水)に開催したインスタライブの内容を以下に公開しています。
作品の一部をご紹介します
九寸名古屋帯「草原」
作品コメント
草原、夕日の草原をイメージしている。
大蔵山の草原でススキが風で揺れる夕暮れをイメージして作った。(刷毛渦巻き
染料:西洋茜
大蔵山染料:ススキ
九寸名古屋帯「地層」
作品コメント
海岩から土がこぼれ落ちてくる場所が大蔵山にはある。この帯では土を使っている、土そのものを使っていて、地層、山そのものに近づく時間を作りたい。摺れを防ぐために、柿渋やアルミを引いているが、土そのもののエネルギーや粒子をまとってもらいたい。
染料:柿渋
大蔵山染料:モミ、寂土
九寸名古屋帯「海賦文」
作品コメント
海の近くに生える植物や海藻が、二度海に沈んだ大蔵山の2000万年の歴史の中につながってくる。その中で伊達冠石が生まれた。山を見ると思い浮かべるのは海の記憶。 円の中にある模様の、周りの大蔵山の色も見てもらいたい。
染料:藍顔料、銀座の柳顔料、西洋茜
大蔵山染料:ヤマハンノキ、ススキ
EXHIBITION FUYU
銀座もとじは、大蔵山スタジオ(宮城県丸森町)「GALLERY LOCI」との共催により、染色家・草木染作家の山崎広樹氏による作品展「FUYU」を2022年11月に宮城と東京の2会場で開催いたします。
自然の草木根皮から色を抽出して糸や布を染める「草木染」。
20世紀初頭、草木染ということばを世に出した曽祖父の山崎斌(あきら)氏から代々、手仕事と自然を調和させる生活文化創造の精神を受け継いだ山崎広樹氏は、伊達冠石の採石場である豊かな自然に恵まれた大蔵山で、自ら採取した大蔵寂土(おおくらさびつち)と草木から色を抽出し、その生命の光を糸や布へとうつしました。
会期前半のGALLERY LOCIでは、2年にわたる山崎氏の色のリサーチワークと、用途の広い大判の布などを中心に展示します。
後半の銀座もとじでは、大蔵山スタジオの大蔵寂土や、自生する草木で染めた着物や帯などを展示。
春夏秋冬、大蔵山の自然と対話をしてきた山崎氏の意欲作をご高覧いただければ幸いです。
ARTIST PROFILE
山崎広樹 Hiroki Yamazaki
染色家/草木染作家
1988年神奈川県川崎市生まれ。2011年東京農業大学国際バイオビジネス学科卒業。2013年父・和樹主宰の草木工房で草木染の研究を始める。2015年「第18回岡本太郎現代芸術賞」に入選し、川崎市岡本太郎美術館で展示を行う。2016年松原染織工房で松原與七氏より型染を学ぶ。2018年「銀座もとじ 男のきもの シーズナルコレクション2018秋冬」に参加し、型染の帯を出品。銀座もとじ店舗内で糊置の実演パフォーマンスを行う(2019春夏、2019秋冬、2020春夏、2021秋冬、2022春夏も参加)。2019年「中国杭州天然染色会議」に参加、父と共にワークショップを行う。岡谷市蚕糸博物館の展示会に型染帯を出品する。2020年高崎市染料植物園の展示会に型染帯を出品。銀座もとじ「草木染の継承展 山崎青樹・和樹・広樹」で型染帯を出品。2022年より東北芸術工科大学非常勤講師。
LEE, Mihee
パフォーミングアーティスト
1980年生まれ。2006年韓国に留学。その後韓国、インド、ヨーロッパなどで演劇、舞踊の舞台公演やワークショップ指導などを中心に活動。主にアジアの伝統芸能の原初的な様式をリサーチしたり、ひとの持っている野生を発見するような作品づくりに挑戦している。
EXHIBITION DESIGN-GALLERY LOCI
片桐功敦 Atsunobu Katagiri
花道みささぎ流家元
1973年大阪生まれ。人類が原始的にもつ、植物や自然への憧憬や畏敬の念を具現化するために、民俗学を手掛かりに、いけばなの技術を用いた表現方法を模索している。空間設営から撮影までをこなし、個展を中心に精力的に活動を続けている。出版に写真集『Sacrifice─未来に捧ぐ、再生のいけばな』(青幻舎 2015)などがある。近年の展覧会にヴァンクリーフ&アーペルとコラボレーションした「LIGHT OF FLOWERS ハナの光」(代官山TSITE GARDEN GALLERY 2021)、国際写真展「KYOTOGRAPHIE」(二条城 2021)他
大蔵山スタジオ
伊達冠石の採石場、加工場、デザインスタジオを運営する石の専門会社。ひとつひとつの原石がアートピースとして、独特の存在感を放つ伊達冠石は、世界中のアーティストや建築家を魅了し続けている。2020年に採石場を中心とした自社の里山で、ギャラリーロキをスタート。採石場の持つ場の力や、原石の力を通じて、人類が自然に対して抱いてきた原初の感覚を共有する企画展を開催している。
大蔵山スタジオ 公式ページ
※外部サイトへリンクします
INVITATION
※下記画像クリックで拡大表示できます。
HIRAKI project について
伝統とは革新の連続
日本が誇る染織文化を未来へ繋いでいくために
伝統を新たな視点から見つめ直し、
未知の化学反応を起こすことで、
染織の可能性を発見していきたい。
【HIRAKI (啓)】とは
1.未知なるものを明らかにする。教え導くこと。
2.閉じたものを開放すること。
日本染織の伝統文化は「継承し守る」ことと共に、
新しい風を取り入れ柔軟に「変化」してきたからこそ、今に伝わっています。
茨城県・栃木県を産地とする『結城紬』は、
17世紀初頭、紬織自体は一度衰退。
しかし、長野県の上田から職人を招いて振興・改良に努め、
今に伝わる「結城紬」の基盤をつくりました。
鹿児島県を産地とする『大島紬』も、
明治時代に久留米絣(福岡県)から「締機」を取り入れ、
現在の大島紬のベースを作りました。
現在、伝統工芸品として古から伝わる技法も、長い歴史を振り返れば
「産地×産地」「伝統×新しいもの」「伝統×挑戦」といった
新しい化学反応が起こることで進化し、
それが伝統となり今に根付いています。
この大切な文化を未来に繋げていくために、
伝統を新たな視点から見つめ直し、染織の未来を啓く化学反応を起こし
「伝統」からの新たな開放が必要不可欠だと感じます。
伝統に甘んじず、守ることからの脱却こそが、染織の可能性を広げると信じ、
新たな取り組み【HIRAKI project】を始動いたします。