運天裕子作(左)浅地花織絣入帯「貝殻採集Ⅱ」(右)若草地花織帯「綾蝶 アヤハベル」
「運天裕子 初個展 ~首里のはたおと~」は、おかげ様で盛況のうちに終了いたしました。ご来店いただきました皆様、作品をご覧くださった皆様に心より御礼申し上げます。
運天裕子 初個展
~首里のはたおと~
第95回国画会にて会友賞を受賞された、首里織・運天裕子さんの待望の初個展です。
沖縄の豊かな染織文化の中でもひときわ格調高い織物である首里織。
34年間、アトリエルバースにて工房作品を製作し、「手縞※1」「桐板※2」「綾の中※3」など復元作業のアシスタントに従事。あくなき探求心から生まれる創造力を美しい織物にする力量は類を見ません。
渾身の作品群をぜひ、ご覧ください。
会期:2022年4月8日(金)~10日(日)
会場:銀座もとじ ぎゃらりー泉、オンラインショップ
〈作家在廊〉
8日(金)13:00~18:00
9日(土)11:00~18:00
10日(日)11:00~15:00
〈お問い合わせ〉
銀座もとじ女性のきもの 03-3538-7878
銀座もとじ男のきもの 03-5524‐7472
※1 手縞(ティジマ)・・・格子と絣で構成した伝統的技法。
※2 桐板(トゥンバン)・・・士族の男女の夏限定の礼装として用いられた貴重な布で現在では幻の織物とされる。
※3 綾の中(アヤヌナーカー)・・・縞と絣で構成した伝統的技法。
ぎゃらりートーク
《インスタライブ同時配信》
日時:4月9日(土)10時~11時【開催終了】
運天裕子さんをお迎えし、ものづくりのお話を伺います。
場所:銀座もとじ ぎゃらりー泉
定員:20名様(会費無料・要予約)
※ぎゃらりートークの様子をインスタグラムでライブ配信。また終了後アーカイブ動画をインスタグラムとYouTubeで公開中です。
作品解説
4月9日(土)15時~ ※30分程度【開催終了】
4月10日(日)13時~ ※30分程度【開催終了】
場所:銀座もとじ ぎゃらりー泉
定員:10名様(会費無料・要予約)
【対談】運天裕子さん×銀座もとじ
初個展に向けて
作品の一部をご紹介いたします
九寸名古屋帯「貝殻採集Ⅱ」
【作家コメント】
旧暦3月3日の沖縄の浜下り(はまうい)。
女の子の節句で海水に手足を浸して身を清め健康祈願をします。
海からの爽やかな風、潮干狩り、懐かしい記憶をたどりながら花織と地括りの絣で表現しています。
藍浅地色を3段階に分けることで干満の差を表現してみました。
九寸名古屋帯「綾蝶-アヤハベル 若草」
【作家コメント】
庭先の植栽を飛びかう蝶を懐かしく思い、緯浮花織で表現しました。 地色はゲッキツ染めです。 琉球では古くから蝶は生きている者を守護する存在でした。 そして魔力を払う力があるとされ、赤ん坊の産着や着物などに蝶の絵柄がよく描かれました。
九寸名古屋帯「朝顔」
【作家コメント】
夏に開花する琉球朝顔を手花織と絣で表現しました。 大きく力強い花や葉は夕方まで咲き続け、つい見惚れてしまいます。 藍で染めた地色に化学染料を重ね、花糸は福木、紫根他、使用しています。
絵羽きもの 道屯織「青竹」
【作家コメント】
道屯織は経糸が表裏両面とも経方向に浮く紋織技法です。 両面使用でき、王府時代は主に男物の官衣として使用されたといわれています。 琉球竹(リュウキュウチク)は密生する性質を生かし垣根として屋敷に植えられていました。 単独で直立する若竹の伸び々とした姿、白く光って見える節を道屯織にのせてみました。 道屯部(柄)の段数を変化させたり、色の配置を市松にしたりと普段とは違った試みで織り成せた表情です。
運天裕子さんの作品を用いたコーディネート例
久米島紬と重ねた琉球もの同士の組み合わせ
紅葉狩りや秋の食事会へいかがでしょうか。
春先の袷、初夏の単衣に。白大島を重ねて
美術館巡りやコンサートへ
《特別展示》第95回 国展入選作品(非売品)
会友賞 「南風の杜」
琉球王朝時代から継承される技法「ムルドゥッチリ(諸取切)」で織り出された着物を、期間限定で特別展示いたします。
運天裕子さんについて/プロフィール
1962年 沖縄県豊見城村(現豊見城市)生まれ
1986年 ルバースミヤヒラ 吟子に師事 (24~58歳まで、34年間従事)
1995年 第47回沖展 奨励賞
1998年 第50回沖展 奨励賞
2003年 第25回沖縄県工芸公募展 最優秀賞
2015年 国画会会友 推挙
2021年 第95回国展 会友賞
アトリエルバースにて工房作品製作、手縞や桐板(トゥンビャン)、綾の中などの復元作業のアシスタントを経て2020年9月末卒業。
他、日本民藝館展入選等
首里織(しゅりおり)とは
琉球王府の首都・首里に伝わる伝統の織物。
戦後、宮平初子さんの尽力で美しさを今に伝える。
約500年にわたる琉球王府時代の首都・首里。その地で培われてきた首里の織物は、貴族や士族など高い身分の人々のための衣裳として作られ、美しく格調高い織物が創作されてきました。
戦後、一度はその伝統が途絶えそうになったことがありましたが、宮平初子さんが復興に努め、復活。現在、首里の織物は七種類(首里花織、道屯織、花倉織、諸取切、手縞、煮綛芭蕉布、花織手巾)の技法が伝えられており、それらを総称して首里織と呼びます。中でも花織と絽織りを交互に織り進める「花倉織」と経糸を浮かせて織る「道屯(ロートン)織」は首里織を代表する織物として知られ、王族専用とされていた華やぎと気品をたたえた独特の美しさが魅力です。
素材は絹糸を主に、綿糸、麻糸などの天然繊維を用いて、染料は琉球藍、福木、渋木、紅露などの植物染料が使われます。
新しい作り手を応援する「ぎゃらりー泉」とは
女性のきもの専門店「和織」と「和染」の扉の間にもうひとつ、「ぎゃらりー泉」と書かれた扉があります。この扉は、いつか未来を担う作り手に出会えたら、この扉を開いて羽ばたいていって欲しいと、店主泉二が「和織・和染」の開店時より設えていました。 ぎゃらりー泉は、才能がありながら作品発表の機会に恵まれず染織の世界を離れていく多くの作り手を目の当たりにしてきた、店主泉二の長年の夢でもありました。これからの日本の染織界で活躍が期待される可能性を秘めた作り手に光を当て、作品発表の場を提供したいという思いから造られました。 2017年、運営が始まり、ぎゃらりー泉での初個展を開催。 染めや織りの作家としての一歩を踏み出された皆さんは、お客様の応援をいただきながら、その後も確実に着実に活躍の場を広げられています。