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二代目・泉二啓太の産地めぐり ~紅花寒染め、紫根寒染め、山岸幸一さんを訪ねて~ 

私たちは「伝える職人」として、 産地の空気を伝えたいという思いから、 自分の目で見て、自分の耳で聞き、自分の手で触れて感じたことを、自分の言葉でお客様にご紹介をする、ということを大切にしています。

今回は、山形県米沢市赤崩にある草木染織作家、山岸幸一さんの工房を訪ね、毎年真冬に行われる「寒染め(かんぞめ)」と呼ばれる紅花染めでプラチナボーイの糸を染める工程を見学させていただきました。

山岸さんの寒染めの光景は、真っ白な銀世界に紅色に染まった糸が鮮やかに映える景色がとても印象的です。しかし今年は暖冬の影響で、雪景色は一体どこに?というくらい雪が積もっていなく、何度か工房に訪ねたなかでも初めてのことで衝撃的でした。

工房の入り口
工房の敷地内

初めてのことはそれだけではありません。私どもが創業40周年を迎えるということで、紅花寒染めに加えて特別に紫根での寒染めを見せていただくことができました。

紫根染めは紅花染め同様、温度がとても大事です。紅花は40℃、紫根は60℃を超えると色が黒くなり発色が失われます。さらに紫根は夏に染めると色が濁って臭くなります。紅花と同じく「寒染め」が、紫根が持つ色の美しさをいちばん引き出す染め方なのです。

今回山岸さんが使った紫根は「古代紫」と呼ばれる日本のむらさきです。紫根の色素を抽出するやり方で一般的なのは、熱湯をかけて揉みだす方法やメタノールやアルコールを使って抽出する方法です。

山岸さんのやり方は石臼で突いて色素を抽出していきます。紫根は根の表皮に色素がたくさん詰まっており、その表皮から色素を取るには石臼で突くのが当たりがよく、90%以上の色素を抽出することができるそうです。量が少なくてもたくさん色素が抽出できるものが質の良い紫根と言われています。

紫根

 

石臼で紫根を突いているところ

紫の色には、青味がかった「江戸紫」と赤味がかった「京紫」があります。前者はサワフタギの灰汁で、後者は椿の灰汁で下染めを1週間から10日かけて行います。そのあと抽出した古代紫の色素で染めていきます。紫根は希少なので、山岸さんの工房では、2~3年に1回しか染めることができません。今回はその1回に立ち会うことができました。

人間のエゴを取りさり、あくまでも自然のリズムに合わせて、草木がいちばん美しい色を出す瞬間をとらえる。山岸さんが20代後半の時に、太陽と水と風を求めて40か所以上の土地をめぐり、ようやく見つけた赤崩の地。何もない所から一から始めた工房も、今では長男の大典さんと長女の久子さんと一緒にご家族でものづくりをされていらっしゃいます。

紫根を染めていきます
最上川の流水で濯ぎます(長男の大典さん)

今回も山岸さんをはじめご家族の方には大変お世話になり、貴重な体験をさせていただき本当にありがとうございました。

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