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《3分で解説》「松原伸生の長板中形展」5つの見どころ(2022年公開)

※こちらは2022年に公開した記事です。

《3分で解説》「松原伸生の長板中形展」5つの見どころ

4月22日(金)~24(日)に開催される「松原伸生の長板中形~藍冴える型模様の天晴れな美~」展の見どころをわかりやすくご紹介します。

【目次】
見どころ① 今、注目の松原伸生さんの作品が揃う
見どころ② 両面糊置きによる藍×白の対比の美しさ
見どころ③ 日本人の肌を美しく魅せる瑞々しい藍
見どころ④ 着回し力抜群!単衣の着物&浴衣として
見どころ⑤ 綿・麻・絹、素材ごとの楽しみ

見どころ①
今、注目の松原伸生さんの作品が揃う

各工芸展での受賞多数、2018年には「第38回伝統文化ポーラ賞 優秀賞」、さらに2021年春には「紫綬褒章」を受章。人間国宝の祖父・定吉氏の仕事を継ぐ父・利男氏のもと、19歳で長板中形の道へ入り、今年56歳。脂の乗り切った松原伸生さんの作品を一堂にご覧いただくまたとない機会です。
また今回は、初おろしの型で染めた新作も披露!ぜひご期待ください。

長板中形の指定要件
(1)伊勢型紙を使用すること
(2)両面糊置きをすること
(3)藍を使用すること
長板中形とは
江戸時代に発展した、型紙を使って藍で染める染色技法。
約6.5mのモミの一枚板「長板」を使い、大紋(大形)と小紋(小形)の中間の大きさである「中形」を染めることから江戸中形とも呼ばれ、1955年に長板中形の分野で松原定吉(松原伸生さんの祖父)・清水幸太郎の両氏が国の重要無形文化財保持者に指定されたのを機に「長板中形」が正式名になった。

松原伸生 長板中形 工房
松原伸生さんの工房には何枚もの長板が並ぶ。

長板中形の制作工程《松原伸生さんの匠の技》

見どころ②
両面糊置きによる藍×白の対比の美しさ

松原伸生作 長板中形 藍染め きもの

(左)菊花蝶文(右)重ね菱文 藍地に白、白地に藍、それぞれに魅力がある。

夏空に映える藍と白の清々しいコントラストが長板中形の真骨頂。その秘密は、同じ型で寸分違わず生地の表裏に糊を型付けする「両面糊置き」の技術にあります。藍甕に浸して染める間、生地は糊に挟まれる形で防染されるため、白がくっきりと染め抜かれます。

長板中形の良し悪しは何より「糊作り」にかかっており、松原さんは型紙の柄や天候により粘度を調整、その加減は長年の経験に支えられています。

松原伸生 長板中形 型付け 両面糊置き

13メートルの生地の表裏両面に糊置きをする。赤く着色した糊の方が表面、黄色の糊が裏面。

松原伸生 長板中形 両面糊置き 藍染め

藍甕に浸す前。糊置きした生地がくっつかないよう屏風状にする。

松原伸生 長板中形 藍染め

藍甕に浸した後。全体が染まったかに見えるが、防染糊が模様部分の白さを守っている。

見どころ③
日本人の肌を美しく魅せる瑞々しい藍

型模様の魅力を最大限に引き出し、爽快感がありながらも艶っぽく、肌の色を美しく映す独特な藍色。鏡の中には今までに見たことのない貴方がいるはずです。

松原さんの長板中形は、なぜ他の藍染めきものと一線を画するのか。それは、松原家のものづくりが、機械や化学に頼らない手仕事であることと、型選びに始まり、生地素材の吟味、糊作りや糊置き、藍染めまでを一貫して工房内で手掛ける制作スタイルをとっていることが関係しています。

松原伸生 長板中形 藍染め 水元

藍染め後に水洗いし糊を落とす「水元」作業。水に放たれて生地が気持ちよさそう。

「神田紺屋町」と地名にも残るように本来藍染めは紺屋の仕事でしたが、仕上がりの品質を管理するために、松原伸生さんの祖父・松原定吉氏が型付け師として初めて自前の藍甕を持ち、染めまでを一貫して行うようになりました。当時は批判の声があがり「異端の人間国宝」と呼ばれていたそうです。

また、制作工程で大量に使う「水」の質や自然環境も、この瑞々しい藍色を引き出す要素。松原さんは19歳で長板中形の道へ入る際に、太陽と水と風を求め、お父様と共に都内から千葉県・君津へ工房を移しています。

松原伸生 長板中形 千葉県君津市 工房周辺

千葉県君津市、松原さんの工房周辺。(2019年春撮影)

『・・おかげで、紺屋が激減した今日でも、制作を中断することなく、自らの求める長板中形の浴衣や着物を作り続けていけるのである。染織が量産の時代ではなく、一点ごとの芸術性を問われる時代、一人の作り手が、より多くの工程を手掛けること、部分だけでなく全体を把握する方向へ向かうことは自然であろう。定吉は図らずも後進を新しい時代の長板中形の担い手へと導いたともいえるのである。 』
和織物語「藍と白による文様の再発見~松原伸生の長板中形~」より/2017年 多摩美術大学教授・外舘和子著)

見どころ④
着回し力抜群!単衣の着物&浴衣として

長板中形は江戸時代の浴衣として発展しましたが、現在では浴衣だけでなく襦袢と足袋を合わせて夏着物として、より幅広いシーンでお召しいただけます。

《女性:着回し例》
・4月末頃~5月中旬 先取単衣として平織りの綿や麻の長襦袢(半衿は塩瀬や楊柳)と共に着用。帯は紬地の名古屋帯や半巾帯など。
・5月下旬~6月 上記の長襦袢の半衿を楊柳や絹絽、麻にして季節感を演出。帯は夏用の紬や麻、絽綴れ、自然布、半巾帯など。
・7月~8月 夏着物としては上記同様。盛夏は浴衣として長襦袢無しでも着用可能。

松原伸生 長板中形 女性 コーディネート

夏の醍醐味、自然布の帯を重ねて寄席や観劇へ 。詳細はこちら

《男性:着回し例》
・4月末頃~5月中旬 先取単衣として平織りの綿や麻の長襦袢(半衿は塩瀬や楊柳)と共に着用。帯は紬地や博多など。薄羽織をつけても、着流しでも。
・5月下旬~6月 上記の長襦袢の半衿を楊柳や絹絽、麻にして季節感を演出。帯は夏用の紬や博多、麻、絽綴れ、自然布など。薄羽織をつけても、着流しでも。
・7月~8月 夏着物としては上記同様。盛夏は浴衣として下駄を合わせた粋なスタイルもおすすめ。

松原伸生 長板中形 男性 コーディネート

薄羽織を合わせて初夏のデートへ、着流しで夏祭りへ。詳細はこちら

見どころ⑤
綿・麻・絹、素材ごとの楽しみ

今回の個展では、多様な素材に染めた作品が並びます。着るほどに肌になじみ心地良さを増す知多木綿。盛夏のお洒落を満喫する上質な麻。そして、 銀座もとじがプロデュースする純国産絹・プラチナボーイの「さわやか縮緬」に染めた「裏変わり」の逸品。 素材を活かした型と染めの表現をぜひご堪能ください。

松原伸生 長板中形 プラチナボーイ 裏変わり

単衣の季節、歩くたびに裾からちらりと覗く贅沢なお洒落をお楽しみいただけます。

プラチナボーイ「雪吊文/雪文 裏変り」

松原伸生 長板中形 プラチナボーイ 裏変わり コーディネート

シンプルな絽綴れ帯を合わせた装い。詳細はこちら

松原伸生 長板中形 麻

 麻「霞手綱文」

松原伸生 長板中形 綿絽

綿絽「重ね紗綾型」

長板中形が綿の浴衣として普及した背景
江戸時代に入って木綿栽培が広がり、また、銭湯文化が町人の暮らしに広まったことから、風呂上がりに着る湯帷子(ゆかたびら)=浴衣が暮らしに定着、夏の寛ぎ着や祭り浴衣としても普及しました。

《紫綬褒章受章記念展》
松原伸生の長板中形
~藍冴える型模様の天晴れな美~

《紫綬褒章受章記念展》松原伸生の長板中形~藍冴える型模様の天晴れな美~

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