まず「手ぬぐい」。これは値段も手頃ですし、普段の生活でも重宝しますからぜひ、色柄で気軽に楽しんでください。昔は汗拭き手拭きで使うのは勿論のこと、手ぬぐい自体を裂いて鼻緒が切れた時、怪我をした時の止血や包帯代わりに使うこともあり庶民の生活に根付いた存在でした。両端が切りっ放しになっているのはその名残です。
2つ目に、男性が気軽に持てる人気の手提げ、「信玄袋」(合切袋)です。 昨今では、「合切袋(がっさいぶくろ)」といわれる一切合財入ってしまう袋という意味の便利な手提げ袋の一つとして信玄袋という呼び名が人気を得ておりますが、元は旅の際に衣類を入れて持ち歩いたトランクのようなものでした。 合切袋には、綿や麻や絹などの布帛で作られたものや、印伝(いんでん)と呼ばれる鹿皮をなめした細かいシボや漆加工などが表面にほどこされた袋(インドから伝わったというのが名称の由来といわれています)など様々な種類があります。
わたしは良く日本各地のきものの産地をめぐっていますが、そういったときに着物姿に似合う旅行鞄になるようなものが無いか、長いこと探し続けておりました。とうとう見つけた品が、こちらのトロリーバッグでした。 奈良時代から江戸時代にかけて発展した柳行李を基盤に、大正末期から昭和初期にかけて製造され始めたファイバー製の鞄が原点となってできた、弾力性に富み、衝撃にも強い、という特徴を持ったトランクです。
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