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至極の逸品 重要無形文化財 越後上布「市松菱 藍墨」着尺|店主 泉二弘明のおすすめの逸品

店主 泉二弘明のおすすめの逸品 至極の逸品 重要無形文化財 越後上布 着尺「市松菱 藍墨」

今月の「店主 泉二弘明のおすすめの逸品」は、2014年6月5日(木)から開催の「極上の上布展」にちなみ、至極の越後上布の逸品のご紹介です。 2013年4月、「銀座もとじのものづくり」ページにて制作途中をご紹介した、いまかいまかとその完成を待ち望んだ極上の越後上布が届いてまいりました!2012年8月頃から織り始め、織りの工程だけで約1年半以上という長い月日を掛けて完成いたしました。 この一反の越後上布のために、新潟の六日町の越後上布の工房から、長年家宝として大切に保存してきた極細の苧麻をお譲りいただきました。1日7時間ほどひたすら織り続けても、織り上がるのは、たった約4センチほど。そのことが、布となる前の糸がいかに極細であるかを伝えます。こちらの越後上布の織りを手掛けた、ベテランの織り子さんである石神さんは、「糸が極細な分、織り上がった部分の布の風合いには、これまでにない感触なので、どれだけ糸が細くて薄手かがわかる」と教えてくださいました。 実際に織り上がった越後上布を手にすると、なんというしなやかさ、なんという心地の良い風合い、とその感動はひとしお。反物を広げると、舞い上がっていきそうなほどに軽やかで、また、肌に触れたときのしなやかで薄手の布の感触はあまりに心地よくていつまでも触れていたい衝動に駆られます。 越後上布機織りの様子

「幻の布」越後上布

現在、重要無形文化財の認定を受ける「越後上布」の年間生産反数はたった<20~30反程>と言われます。特に、原料となる苧麻糸を績む人が激減して、どんどん生産反数が減っていて、近い将来には「幻の布」になると言われています。
越後上布の歴史は古く、1200年前から織られている日本最古の織物です。「雪中に糸となし、雪中に織り、雪水に濯ぎ、雪上に晒す。」 江戸時代の書物「北越雪譜」にも詠まれているほどに、「雪の中から生まれる織物」とも言われています。昭和30年5月、日本の染織品として、国の重要無形文化財 第一号の指定産地として、認定されました。 越後上布の布に用いられる緯糸は、苧麻の繊維を裂いたものを手で撚り合わせて作りますが、緯糸だけで一反分を仕上げるのに約3ヶ月。経糸は一本ずつを結び合わせるため出来上がりまでに7ヶ月もかかります。経糸作りの方が熟練した技術が必要で、その職人がいなくなってきているそうです。 機にかかる前の糸の段階を見せていただくだけでも、その細さは一目瞭然。長さを揃えて刈った苧麻の皮を裂いて作る糸は、その年の気候と職人の技術が問われます。
糸績の様子
また、越後上布の特徴は苧麻の栽培が一毛作であることにもあります。土の栄養が1回に凝縮されるため、他の上布とは別格とされる、やわらかくしなやかな糸が作り出せるのです。
雪晒しの様子
特徴として有名なもうひとつは「雪晒し」です。白地の越後上布は3~4月の雪解けの頃、天気の良い時に、一面の雪野原に反物を広げます。紫外線が雪に当たるとオゾンが発生し、その効果で生地が漂白されると言われています。

国の重要無形文化財、ユネスコの無形文化遺産「越後上布」

1955年に「越後上布」「小千谷縮」が共に重要無形文化財に指定されました。また、2009年にはユネスコの無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」にも登録され、世界的にもその技術や価値を認められた最高級品の上布が、「越後上布」です。その歴史は古く、1200年前から織られている日本最古の織物とされています。長年の間に、人々の知恵によって高められてきた技術は、その技術を後世に守り伝えるために、現在「国の重要無形文化財」の指定要件として、下記の条件、工程を経ていることが求められています。 (1) すべて手うみした苧麻糸であること (2) 絣模様は手括りであること (3) 地機で織ること (4) しぼ取りは湯もみによること (5) 地白のものは雪晒しすること

後世に受け継がれることを願う、至極の逸品

じっくりと深みのある藍墨色。黒ではない、藍をすっと奥に感じる、しなやかな藍墨色の大変良いお色目です。柄行は複雑な大変凝った「市松菱」の意匠が浮かび上がり、デザイン性の高さが際立ちます。色柄ともに、ただならぬ風格を見せ付ける、越後上布の中でも至極の逸品でございます。そしてその魅力はなにより、極細の苧麻糸による肌触りの格別さ。ほどよいハリ感と、信じられないほどふわりとやわらかに肌に添う極上の質感をまとわれれば、必ずや至福の時間を感じていただけることでしょう。
後世に受け継がれることを願う、至極の逸品
越後の深い雪がもたらず蒸気をゆっくり含みながら、しなやかに、やさしい極上の風合いで織り上がった越後上布。この一品ほどに、この苧麻糸の細さを実現することは、今後はもう不可能と言われています。店主 泉二が、これほどのの越後上布のひと品は、いましかできない、と考え、越後上布の工房に依頼して長い月日をかけて完成した、本当に特別なひと品です。ぜひこの機会に、実際にお手にとって、至極の逸品の素晴らしさをご実感いただけたらと心より願っております。

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