「生掛(なまがけ)」とは・・・
ふつう繭は、乾繭(かんけん)にしてから煮出して糸を取りますが、「生掛」は繭になりたての生の状態から糸を取ったもの。蚕が繭を作ってから、2週間ほどでさなぎにかえってしまうため、その間に繭を煮出して、真綿にし、糸をぎます。蚕の成長のリズムに合わせてそれらの工程をおこなわなければならないため、生掛けで糸を採ることはなかなか困難です。そのため、通常は繭になったらすぐに乾燥させる「乾繭(かんけん)」が、一般的なのです。 そして、この大変希少な生掛けで出来上がった糸を、「地機」で織り上げています。国の重要無形文化財に指定されている「結城紬」は、 1.使用する糸はすべて真綿より手つむぎしたものとし強撚糸を使用しないこと 2.絣模様を付ける場合は手くびりによること 3.地機で織ること の3つの要件が定められています。「地機(じばた)」とは・・・
「地機」とは、 ケヤキの皮をなめした腰当てを腰に巻きつけ、経糸を腰にまとめ、緯糸を打ちこむときにその張り具合を腰と足でコントロールして織る、古来からの技法です。織手が全身の力を使い織機と一体となって織り上げ、独特の大きな杼(ひ)で何百回となく糸を打ち込むため、織りあがった着物は強く丈夫でありながら、しなやかで肌触りが良く、また数多く打ち込まれた糸が空気を含むので着て暖かいと言われています。本場結城紬検査協同組合による証紙
約16項目に渡る厳しい検査項目をクリアした、品質を保証された結城紬には、本場結城紬検査協同組合によって証紙が貼られます。左から、
「本場結城紬検査合格の証」
「品質表示ラベル(真綿手紬糸、絹100%)」
「産地証明ラベル(結城の「結」)」
「糸とり婦人図ラベル(「手つむぎ」を表す)」
「検査証ラベル」
「本場結城紬検査之証(地機)」