和装寸法の計算単位
長さを測る単位は、日本では通常メートル法を用いていますが、着物の世界では現在も尺貫法を用いています。和裁に縁のない方には馴染みがない単位ですが、着物の仕立ては基本的にこの尺貫法で行われるため、裄や身丈といった寸法を測るとき、あるいは伝えるときに、この尺貫法での寸法理解ができると間違いが防げます。 ただしこの尺貫法には2種類のものがあるので注意が必要です。一つは建築などで用いられる「曲尺(かねじゃく)」と呼ばれるもの、そしてもう一つが「鯨尺(くじらじゃく)」と呼ばれるもので、着物は後者の鯨尺を使って測ります(例外として、東北の一部の地域のみ曲尺が使用されています)。 鯨尺で覚えておきたい単位は「分(ぶ)」、「寸(すん)」、「尺(しゃく)」、「丈(じょう)」の4つです。分、寸、尺は身丈や裄などの寸法を測るときに、丈は反物の長さを示すときなどによく出てきます。慣れてきたらメートル換算せず、尺貫法表現のままで理解できるようになると、実際に着物がより身近なものとなります。ぜひ、ご自身の着物の寸法を尺貫法単位で覚えましょう。 以下にその単位の換算表を記しますので活用して下さい。メートル表記による尺貫法の長さ
鯨尺- 1分
- 約0.378cm
- 1寸
- 約3.78cm
- 1尺
- 約37.8cm
- 1丈
- 約3.78m
- 1分
- 約0.303cm
- 1寸
- 約3.03cm
- 1尺
- 約30.3cm
- 1丈
- 約3.03m
上記表より、例えば鯨尺で「六尺」は、約181.8cmではなく約226.8cmとなります。 ちなみに、現在用いられている尺貫法は、明治24年(1891年)に制定された度量衡法によるもので、この時それまで様々な尺度が存在していたものを、曲尺1尺について33分の10m(約30.3cm)と統一されました。ただし、和裁の尺度は鯨尺を用い、鯨尺1尺が25分の66m(約37.8cm)となります。厳密には小数点以下が延々と続く数字となりますが、事実上は上記の表の数値が使用されます。 なお、鯨尺はもともと鯨の鬚(ヒゲ)を材料にこの物差しが作られていたことからこの名があります。鯨尺の目盛りのある物差しは和裁用の竹製のものが一般的ですが、この鯨尺が刻まれているメジャーも販売されています(当店では尺差し・メジャーの販売は行っておりません。和裁道具を扱うお店などでご購入下さい)。
最後に、同じ和装品の中でも、雪駄や草履などの和装履物のサイズを測る際は、鯨尺ではなく曲尺が使用されますのでご注意ください。たとえば8寸の雪駄は、曲尺で約3.03cm×8=24.24cmとなります。これを間違って鯨尺で計算すると、約3.78cm×8=30.24cmとなり、大変な寸法違いとなります。くれぐれも間違いのないようお気を付け下さい。
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