「奄美大島は、長い間、沖縄や薩摩の支配下におかれてきた島です。沖縄では琉球文化が栄え、中国からの使節を歓待するための舞踏が、長い間王宮の庇護を受けながら、洗練されて芸術性を高めてきました。
一方、奄美大島では、庶民の間で日常的に踊る文化が栄え、老若男女、等しく輪になって踊る、といった風習が今に受け継がれています。踊りを通じて、分け隔てのない『つながり』というものが大切にされてきました。」 奄美大島の歴史や文化の中に、奄美大島に生きる人々のぬくもりを伝えながら興味深いお話しを聞かせてくれるのは、若き日に奄美大島の魅力に導かれるようにして島に移住し、当時より新聞社への勤務を開始して今に至る、南海日日新聞の松井輝美氏。
「また、四方を海に囲まれた奄美大島は、地理的に中国や朝鮮などの大陸から様々な文化を受け入れてきた島です。見たこともないような新しいものを予期せず迎え入れる環境にあったことにより、他者を受け入れ、新しい価値観を柔軟に取り込む、という民族性が培われてきたのです。」
そういった歴史的背景や地理的条件から、型にとらわれず、新しいことに挑戦する力が奄美大島の人々に育まれ、世界的にも稀な特徴を持つ織物である「大島紬」を生み出す原動力となってきたのかもしれません。