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河田孝郎氏を迎えて|活動レポート

4月8日土曜日。朝の晴れ間が嘘のように雷がとどろき、雨が降り始めた午後1時より紙パルプ会館で「河田孝郎氏」のもとじ倶楽部が開催されました。 今回の「もとじ倶楽部」はワークショップ型で、実演もあり。河田先生自ら「蝋鍋」や各種刷毛類など実演道具を工房から沢山持ち込んでくださっていたので「万一に備えて雨が降る前に運ばなくては」とスタッフが各自ダンボールを一個ずつ抱え紙パルプ会館へ急ぎました。 到着してホッと一息。梱包を解きだしたときには「嵐のような雨」が降りだし、全員でびっくり。大事な作品集や下絵もお借りしていたので間一髪で逃れたと言う感じで、「良かった。やっぱり泉二には雨がつきものだねえ」と口々に言っていました。 蝋鍋をセットし、ビデオや資料をセッティング。河田先生のお弟子さんが手際よく染料をホーローカップに入れていきます。糊作りも終わり、開始10分前にはセッティング終了、いよいよもとじ倶楽部の開始です。
「蝋」と「糊」を使って防染し、染め重ねていく河田先生の技法は、独特なやり方ゆえに言葉だけでは分かりにくいのではと先生も仰り、そこで先生の実演が沢山盛り込まれました。 最初は「染めの歴史と変遷」の話をしていただき、それから「天平の三纈(ろう纈、纐纈、夾纈)*」「染技法」「染料」とお話しいただきました。 続いて先生の技法の紹介です。 河田先生の作品は、下絵作りからはじまります。スケッチした風景や対象物のデッサンをもとに、思い描く世界のイメージを紙に描きます。そして、その原稿を生地やキャンバスなどの素材へ写し、下絵を完成させます。そしていよいよ蝋を置く工程が始まります。
ワークショップ型実演
木蝋とパラフィンをブレンドし、季節によって蝋の濃度を加減しながら決めて行きます。電熱器の上で蝋の入った鍋を熱し、鍋の淵で筆に蝋をつけ、さっさと蝋を置きます。温度が変わるとすぐに固まるため二度描きは出来ないのです。そして乾かします。 続いて糊を置きます。糊は「ふのり」「カゼイン」「パルプ」などを使ってブレンドした「うすのり」を作ります。これも季節によって濃さを考えます。蝋を置いた上に3~4回下糊をします。この糊も一回置いたらそのたびに乾かして行くので、染めるまでに何日も掛かります。
「蝋」と「糊」を使って防染し、染め重ねていく
糊を置いたら乾かして染めが行われます。刷毛で染料を糊のうえから刷り込みます。うすのりを透して染料を浸透させていくので根気が必要です。また力加減でも染まり方が変わります。この工程を20回以上繰り返して河田作品は出来上がるのです。日程にするとほぼひと月以上が掛かります。
こうやって重ね染めているのにもかかわらず、決して色が濁らないところが河田作品の特徴です。それは蝋と糊を使って歩止りを8%程度に抑え、糸のへたりも無くしているからです。蝋を溶かし始めると独特の臭いが漂い始め、会館が一気に工房に早変わりしました。 実演が始まると先生の前に出席者が集まり手元をじっと見ています。先生はそこで糊を手早く置き、また解説をし、糊を置き、解説をし、染を進めます。
色も薄めにつくりさっと染めていきます。染めは、補色の関係になる色を重ねて調整していきます。 キャンパス地に蝋と糊で防染していく方法を説明しながら実演してくださるので大変分かりやすい楽しい会でした。
染めは、補色の関係になる色を重ねて調整していきます。
また、先生から出席者の皆さんにハンカチのプレゼントがありました。これは一点ずつ先生が自分の技法で染めていったハンカチでしたので、同じものは二つと無く、皆、包みを開けてびっくり。鮮やかな色のハンカチにとっても感動していました。最後に今回展示している作品の説明があり、質疑応答を経て終了となりました。 最高傑作の「壁」は4枚の屏風になっていたため、会館にはデッサンだけ持ち込み、本物はぎゃらりー泉に2面だけ見せる形で展示してありましたので、皆ワークショップの後はそちらに足を運びました。 通常は2時間の「もとじ倶楽部」ですが、今回は河田先生の実演があることから「2時間半のワークショップ」となりました。が、皆さん目を輝かせて先生の手元を見ていてくださったので時間を忘れて過ごす楽しいひとときでした。
終わったときにはすっかり天気も晴れとなり、先生の作品のような青空が見えました。皆様のご参加本当にありがとうございました。
2時間半のワークショップ

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