※こちらは2014年に公開された記事です。
2015年1月22日より、銀座もとじにて、2回目となる辻が花染め 小倉淳史氏の個展が開催されます!辻が花の歴史の「過去」と「未来」を行き来する制作活動の振幅の中から生まれる、洗練を極めた「現代」の作品づくりについて、ご紹介いたします。「辻が花」という名前の花は、存在しないが、とても詩的な響きだ。その名の由来は、謎に満ちていて、いまだに解明されていないが、室町時代、安土桃山時代に大変な人気を博した染め物の名である。 「辻が花染め(つじがはなぞめ)」は、「縫い締め絞り」などの絞りの技法を用いて、多色によって色を染め上げ、さらに摺り箔(金箔・銀箔による装飾技法)、墨書きなどによって紋様が完成される染色技法である。
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「辻が花(つじがはな)」という名前の由来は、二つの道路が十字に交差している場所を表す「辻(つじ)」に咲いている名もなき花から来ている、あるいは赤いツツジの花が「辻が花」となった、またあるいは、縫い締め絞りの巻きつけた絞り方が、旋毛(つむじ)のようであるから、といったいくつかの説がある。
また当時、浸し染めで、日本人が紋様をほどこすためにできる技は、「絞り」しかなかった。室町時代、安土桃山時代に「辻が花染め」が人気を博した後、江戸時代に誕生する模様染め技法である「茶屋辻」にも通じていった「浸し染め」に、「辻が花」の名の由来のヒントが隠されているのではないかという見解だ。
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その時代を後世に牽引しようとしている、重要な立ち位置に、辻が花作家 小倉淳史氏がいる。小倉淳史氏は、130年以上の歴史ある、京都の染織工芸を代表する家に生まれる。初代 小倉萬次郎は、明治大正の友禅界を代表する一人として永く活躍し、その後、4代目となる小倉淳史の父 小倉建亮(けんすけ)氏の代で、独自の作風を目指して、「絞りの岡尾家」といわれた、義母の実家で絞りを真摯に学ぶ。遂に「絞りの小倉」、「辻が花の建亮」として名を成したほどに、友禅染めの技法のみならず、「辻が花染め」の確かな技を手にする。
絞り染・辻が花
小倉淳史 喜寿記念展
絞りはたいそう古くから日本に伝わり世界に広がりをもつ染め物で、表現の可能性を現在まだ大きく持っています。
この度の個展は 77歳の区切りとして開かせて頂きます。辻が花を中心とし、辻が花から発展した絞り染め作品を発表いたします。新しい色、形の表現をご覧頂きたく存じます。
私はこの先、何度もの個展開催は難しいと感じています。今回、是非皆さまにお目にかかり直接お話ししたく、会場にてお待ち申し上げます。
小倉淳史
会期:2024年3月8日(金) ~10日(日)
場所:銀座もとじ 和染、男のきもの、オンラインショップ
ぎゃらりートーク
日時:3月9日 (土)10 ~11時
場所:銀座もとじ 和染
定員:30名(無料・要予約)
作品解説
日時:3月10日 (日)14~14時半
場所:銀座もとじ 和染
定員:10名(無料・要予約)