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「織楽浅野 織又織(おりのまたおり)』 ぎゃらりートーク 開催レポート

2009年10月8日(木)〜11日(日)に開催された『織楽浅野 織又織 -おりのまたおり-』展。10月10日(土)、11日(日)には織楽浅野・浅野裕尚さんを迎えてのぎゃらりートークを行いました。 「“美しさ”とは何か?」 大きな問い。しかしこの問いに対する浅野裕尚さん流の答えの所在を探っていくと、 織楽浅野のものづくりの真髄が見えてきます。 今回はとてもわかりやすく、様々な“素材”を見て“織楽浅野のものづくり”を伺いしました。 まず始めに取り出したのは、インドのペーズリー裂3枚。「この中で一番古いものは 200年前のものです。どちらかわかりますか?」会場で手を挙げていただくと、一番多かったのは真ん中の裂。 「それではこの中で一番美しいと思われるものはどちらですか?」今度は向かって左が断トツで多く手が挙がりました。 「皆さんが今挙げられた左のものが、200年前のものです。“古いもの”と聞くと、“色あせていたり”“汚れている”という イメージがあるかもしれません。でも古い時代に創られたものほど、斬新で、鮮やかだったりするんです。 それを現代の方も“美しい”と感じる。ちなみに、真ん中は40年前、右は100年前のもの。 美しい感性は時代を経ても褪せないんです。」 織楽浅野 ぎゃらりートーク 次に掲げられたのは、微妙な色の違いを見せる和紙たち。 お客様の手元にも<雁皮><三椏><楮><洋紙>の紙切れが渡されました。 「現代は「白」と言うと<洋紙>の白になると思います。でも日本の本来の「白」はこういった 和紙の白。そして材質によって微妙に色が違う。この3つの和紙の種類を織によって表現し分けることができるのか。 デザインを考えるよりも織物の素材を考えること、それをどう生かすかが大事だと思っています。」 浅野裕尚さんがものづくりにおいて最も影響を受けたものは、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」(書籍)であると言います。 「美はモノにあるのではなく、モノとモノとの生み出すあやにあり」という言葉。 微妙な陰影の差、そこから生まれてくる奥行き、色というもの。それを認識すべく、 会場では他にもさまざまなものを見せていただきました。
東大寺お水取の花飾り に使用する和紙 東大寺お水取の花飾り
に使用する和紙
さまざまな和紙 さまざまな和紙
龍村裂帳 龍村裂帳
織楽浅野所蔵裂帳 織楽浅野所蔵裂帳
法隆寺伝来の蜀江錦 法隆寺伝来の蜀江錦
お手元でご覧頂きました お手元でご覧頂きました
銀座もとじでの企画展はこれまで4月に開催が多かったため、単衣を意識したものづくりが多かったのですが、 今回は10月だったので、年末年始に向けてフォーマルを意識されたそう。 「“光をまとう”。上質感は光沢にある。シンプルだけれども上品性と 輝きを持つ。もうひとつ上の上品さ、光沢の美しさを表現したいと思いました。」 進化し続ける『織楽浅野』。浅野裕尚さん独特の審美眼から生み出される織物。 ひとつの面で多様な素材感を伝える、独自の世界観をぜひお楽しみください。

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