銀座の柳の新芽が、初夏の爽やかな風に揺れる頃、毎年恒例となっている泰明小学校での「銀座の柳染め」の課外授業の到来です。
5月24日(月)午前10時半より、五月晴れの空の下、泰明小学校の校内にある2本の「柳の剪定」を行いました。
泰明小学校にある柳は由緒正しい銀座生まれの柳です。正門脇の柳は明治時代に銀座に植えられた初代の柳から株分けされたもので「銀座の2世柳」と呼ばれています。
そしてもう1本は校庭の職員室脇にあり、これは2世柳から株分けされた3世柳です。どちらも今年の新芽を、青々と風に揺らしていました。
今年、実習を行う5年生は全部で75名。
剪定の前に、銀座もとじの荒井から「今日の柳剪定と柳への思い」の話しが以下のようにありました。
「この柳は、1年間暑い日も寒い日も今日のこの5年生の皆の為に、栄養を蓄え続けて今年も精一杯青々とした新芽をつけてくれたこと。柳の枝、葉のひとつひとつにその命が宿っていること。だから決して葉も枝も無駄にしてはならないこと。剪定された柳は柳としての姿は失うけれど、三日三晩煮詰められて、その命は、一粒一粒が染液となって生まれ変わり、みんなの布を染めてくれること。」
この話しを生徒さんは、皆、真剣な眼差しで熱心に聞き入っていました。
さて、いよいよ柳の剪定です。生徒さん、先生、そして当日お手伝いに来てくださったご父兄の方々、銀座もとじスタッフも参加しての大イベントです。
生徒さん一人ずつが梯子に登り、枝垂れる柳を一生懸命剪定します。が、梯子に登るときの表情は慣れないせいか、こわごわと緊張した面持ち。その上、花鋏みを持ったことのない生徒さんも多く、梯子の上で花鋏を持って途方にくれる光景も。それでも、スタッフから使い方を聞きつつなんとか剪定し、梯子を降りて自分で切った柳を手にした途端、どの生徒さんも、安堵感と達成感で満面の笑みがこぼれました。
生徒さんによる剪定が一巡した後は、銀座もとじのスタッフが梯子を使って、本格的に柳の剪定を開始。路面では、生徒さんが切り落とされる柳を今か今かと両手を広げて待ち構え、作業はにぎやかに進行しました。
剪定された柳は、生徒さんの手により、15センチから20センチの大きさに刻まれ、ビニール袋に収められました。その後は染液抽出の煮出しの工程に入る為、銀座もとじのスタッフが持ち帰りました。
午後からは、四丁目の「銀座もとじ」店舗前にて早速、煮出しを開始。これから毎日、凡そ2週間、剪定した柳を染料にする為に朝から晩まで煮詰めます。
今年の柳はどんな色に染まるのでしょうか。
2週間後の、6月7日(月)に行われる「柳染の実習」が今から楽しみです。
写真左:柳の剪定を前に、「柳への思い」を生徒の皆さんにお話しています。
写真中:一人ずつ恐る恐る梯子に登って、柳の剪定にいざ初挑戦。
写真右:校庭で剪定した柳を細かく切って、袋に詰めています。