柳染め授業最終日、今日6月8日はいよいよ「柳染め」をします。
それぞれハンカチを2枚染めて、柳の染料で下染めした反物に絵を描きます。糸やビー玉で好みの絞りをほどこしたハンカチを手に集まった生徒たち。先日の勉強会で技法についてとても熱心に質問していたので、手元を見ると、なるほどとても凝った仕上がりのハンカチが目に付きました。みんな楽しみにしていたんですね。
今回の柳染めは、柳を染料に、媒染剤を変えて多彩を作り出します。当初4色の染めが楽しめることになっていましたが、今年は3色。アルミ媒染がなかなか色がでないとのこと。化学染料ではそんなことはまずないけれど、自然のものは一年間の気候や刈った時期によって、色が濃くなったり薄くなったりします。草木染めの醍醐味とも言えるおもしろさです。今回は、ハンカチは3色(泥、チタン、銅)、反物は4色(アルミも使います)で染めることになりました。
今年は今にも雨が降りそうな天気だったので、まずは全員で校庭でのハンカチ染めへ。 その後に講堂にて反物に絵を描くことになりました。
まずはハンカチ染めです。手順は本格的な草木染めです。まず、水でハンカチをぬらして、 柳の染料が入ったバケツでジャブジャブ(温かい方がよく染まるそうです)。 その後、自分の染めたい媒染剤(泥、チタン、銅)の桶の中でジャブジャブ。キュッとしぼって、 パッパッと空気に触れさせます。
そしてまた水で洗って、柳のバケツへ戻る、これを繰り返すこと3回。 すると、驚くほどそれぞれまったく違った色が染め上がりました。
どんな色が出てくると思いますか?泥は想像通り、グレー。でも、ちょっと茶味をわずかに感じるような、 あたたかみのあるグレーです。チタンは、薄いオレンジと黄色の中間のような色。
そして一番驚いたのが銅。媒染剤は瑠璃色のようなきれいなブルーなのに、桶に入れて空気に触れさせると、 とても明るい黄色になりました。同じ柳の染料なのに、 こんなに違う色が出るのかと、驚きと爽やかな嬉しさが自然と笑顔になります。
絞った紐やビー玉を取ると、みんな満足そうにニコニコ。 ハート、星、まる、三角、いろんな柄が浮かび上がります。 生徒たちは「せっかくなので、奄美から届いた泥染めにしました」「世界にたったひとつのものができて嬉しい」 「染料はにおいがきついけど、色が出てくると楽しい」。一番人気はやっぱり奄美の泥。泥の感触が気持ちよくて、みんな腕までたっぷり。中には顔にもぬられてしまって楽しそうな子も。泉二も加わり、みんなですべすべです。
次に反物に絵を描きます。13mを半分にした6.5mの反物を4本分、講堂の両端の手すりに括りつけてピンと張って、反物がたるまないようにきちんと伸子(シンシ:竹櫛に針がついたもの)がつけられています。それぞれ持ってきた紙コップに、自分が染めたい色の染料を入れて、みんな自由にお絵かき大会です。
今回の生地は【銀座もとじオリジナル】で制作した“銀座の柳模様”の長襦袢を初めて使わせていただきました。「銀座の柳模様地に銀座の柳の染料で絵を描く」。ストーリーある出会いに生徒たちも嬉しそうです。
一番人気は、泰明小学校の校章である星マークや蔦が覆い尽くすことで有名な校舎、思い入れの強い柳の柄も大人気。 また今年は6月にワールドカップがあることからサッカー関連の絵も多かったです。 最初は絵が思いつかなくてなかなか筆が進まない子もいましたが、 今年の生徒たちは描き出すと早い早い! みんな真剣で、もくもくと創作活動に励んでいました。
「仕上がるとどんな色になるんだろう」。お互いに見比べて、真似したりしながら、本当に楽しそうです。
今回使った泥は、おととい奄美大島から届いたばかりのものでした。 柳と泥の交流で、銀座と奄美大島がつながる。生徒たちも頭に日本地図を描いて想像していました。 「伝統の行事でずっと楽しみにしていた。後輩たちにもずっとつなげていきたい。」 きらきらした笑顔がずっと見られるように。2世柳を大切に、また3世柳から4世柳ができて、 奄美の地にも柳が根付き、花咲くことを夢見ています。