【対談】男が黒紋付・色紋付をつくる時 ～会長・泉二弘明×店主・泉二啓太～

（左）店主・泉二啓太（右）会長・泉二弘明

「妹の結婚式が決まり色紋付を、
社長就任が決まり黒紋付を誂えました」

会長・泉二弘明（以後弘明）
就任記念展で、黒紋付姿でお客様の前でご挨拶する時は緊張していたね。

店主・泉二啓太（以後啓太）
壇上に上がったらお客様一人一人の顔がしっかりと見えて、温かい眼差しをまっすぐ向けてくださっていて、緊張とともに胸が熱くなりました。

2022年10月に開催した就任記念イベントにて。この日のために誂えたプラチナボーイの黒紋付でご挨拶させていただいた。

弘明
黒紋付は今回のために誂えたんだよね。

啓太
はい、今までは色紋付は持っていたのですが、社長の任を受けて、プラチナボーイで黒紋付を誂えました。
会長は最初に誂えたのはいつですか？

弘明
人生で一番最初に誂えたのは25歳の時かな。
銀座もとじも何もない、まだまだ修行中の頃。女性だらけの着付け学校に通っていた時に授業の一環でファッションショーがあって、花婿役でどうしても黒紋付が必要になったんです。黒紋付姿には憧れがあって、いつかは自分の一枚をと思っていたから、思い切って誂えました。時間もなかったから染め上がっている「石持ち（こくもち）」の反物からね。

啓太
「石持ち」は、家紋の箇所だけ後で入れられるように白く染め抜かれたものですね。人生初の黒紋付はいかがでしたか？

弘明
気分が良かったですよ。一つ大人になったような凛とした気持ちになれましたね。実は本物の花婿として、自分の結婚式でもその黒紋付を着たんです。私は成人式にも出ていないから、それまで紋付を着る機会がなかったんですよ。
それから2007年にプラチナボーイという絹が開発されて。人生で2枚目の黒紋付を、プラチナボーイの白生地から染めた時は驚きましたね。艶やかで、しっとりとした黒の品ある佇まいは、今まで見たことのある黒とは明らかに違いました。着物屋の店主として黒紋付で大勢の前に出る時も、360度どうぞご覧ください、という気持ちでね。着物は素材が大事だとあらためて感じました。

会長・泉二弘明が愛用するプラチナボーイで誂えた黒紋付。袴は人間国宝・甲田綏郎の精好仙台平。

着物と羽織がプラチナボーイだと、袴も良いものを合わせたくなって、人間国宝の甲田綏郎（こうだよしお）先生の精好仙台平との組み合わせは、私の人生に寄り添う晴れの装いです。着るたびに褒められるもので、気を良くして次はプラチナボーイの縮緬の生地で色紋付まで誂えました。
今でも成人式を節目として、ご子息への御祝いとして紋付袴を誂える親御さんはいらっしゃいますね。成人式の時は黒紋付よりも色紋付を選ぶ方が多いかもしれないね。

プラチナボーイとは
銀座もとじが繭からプロデュースしている、全工程の履歴のわかる、純国産最高品質の絹糸。 2007年、37年の研究の末に大沼昭夫博士が世界で初めて開発に成功した。

「ご子息の成人式や就職祝いに
色紋付を誂える方が多いです」

啓太
そうですね。お着物を着られる親御様は、ご子息の成人用や就職祝いに、色紋付のご要望をいただくことが多いですね。社会に出れば、出会いの一つ一つをチャンスにしていく上で、勝負着が必要になりますよね。その点で、若い頃は色紋付が一枚あると大変便利だと思います。自分の好きな色や、顔映りの良い似合う色を選んで誂えることができるので、礼を表する場であっても、その人なりの美的感覚や個性を表現できます。また紋付を誂えることによって気持ちのスイッチが入り、自然と紋付を着るような人生のステージを呼び寄せるような気がします。

店主・泉二啓太が家族の結婚式を機に誂えた濃紫地の色紋付。
撮影：枦木功さん（ｎｏｍａｄｉｃａ）

弘明
雑誌などの誌面では当店にお声がけいただいて、色紋付や黒紋付を著名なアスリートの方や俳優さんに多数お召しいただきました。オリンピックのメダリストの方や、歌手の方、俳優さんが紋付姿で誌面に登場すると、内面の意志の強さや知性、普段とは別の魅力が引き出されますね。女性ファンはそのギャップの魅力でますます虜になるのでしょうね。

レーシングドライバー・佐藤琢磨選手が天皇陛下ご即位の行事へご参列にあたり、色紋付をプロデュースさせていただきました。
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「プラチナボーイの紋付は
勝負の時に自信をくれる一枚」

啓太
私は色紋付も黒紋付も、両方プラチナボーイで誂えました。プラチナボーイという絹糸の魅力を最大限に引き出すのは、ひょっとして紋付ではないかと思うほどです。
専門的な話にはなるのですが、黒紋付は通常「羽二重（はぶたえ）」という、撚りをかけない細い生糸で織られた白生地に染めていくので、素材の良し悪しがそのまま質感や美しさに反映されるんですよね。糸に撚りをかければ糸が強くなりますし、地紋があればその織り表情が強調されます。でも、まっすぐの糸でそのまま平織りする羽二重は、糸そのものの質が生地の美しさやしなやかな張りに直結します。丁寧に作られた食材は塩をかけるだけで感動するほど美味しい、それと同様のことが、プラチナボーイの紋付では言えると思います。

滑らかで艶やか。染める前から美しいプラチナボーイの羽二重の白生地。

色紋付は、色チップ等からお好きな色に染められますが、店頭には銀座もとじがおすすめする厳選カラー10色の色見本もあります。

【別誂え】プラチナボーイの黒紋付

【別誂え】プラチナボーイの色紋付

弘明
確かにそうかもしれないね。プラチナボーイに無地染めすると、糸の奥から煌めきを感じるんだよね。染めの職人さんも色がよく染まると仰って、同じ色を染めても華やぎがあるというか、深みがあるというか。糸のしなやかさがあるからドレープが綺麗で、しわができても糸がまっすぐに戻ろうとする感覚がある。素材の良さが着た時の自信につながると思いますよ。

啓太
自信を与えてくれる、それは今回の就任記念展で実感しました。黒紋付に袖を通した瞬間に、大きな力に背中を押されたような気持ちがしました。
黒紋付を着る時というのは、人生の大きな節目の時でもあるんですよね。この紋付の着物とともに、銀座もとじ店主として自分を磨いていきたいと思います。

弘明
装いの力は想像以上ですからね。人生が輝くときに纏うものこそ、ぜひプラチナボーイで。多くの方に違いを実感してほしいですね。

記事内の着物コーディネート写真は『MENS KIMONO BOOK 着付けDVD付 はじめての「男の着物」』（株式会社二見書房）より
撮影：寺岡みゆき

男の礼装展 ～人生の節目の装い～

純国産最高品質の絹糸「プラチナボーイ」による羽二重で“極上の黒紋付・色紋付”をお誂えしませんか。
人生の大切な場面で、上質な素材感が礼を尽くす心を伝え、風格ある佇まいを演出します。
また、パーティーシーンや茶席におすすめのお召、袴も多数取り揃えてご紹介いたしますので、ぜひご覧ください。

※近日、オンラインショップでも多数ご紹介予定です。ぜひご期待ください。

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会期：2024年2月23日（金・祝）～25日（日）
場所：銀座もとじ 男のきもの、オンラインショップ
〈お問い合わせ〉
銀座もとじ男のきもの 03-5524-7472
（電話受付時間　11：00～19：00）

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撮影：枦木功さん（ｎｏｍａｄｉｃａ）

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