第11回:平山 八重子 さん (染織家)
今回のお客様は、東京で染織工房を開いている平山八重子さんです。2年前に「和織」店で「煌きを織り込む」と題して個展を開いていただきました。お客様から大変ご好評を頂き2年ぶりに今回も「煌きを織り込む Part2」と題して10月15日(金)から20日(水)の6日間、和織店舗で作品展を開催します。<平山 八重子 プロフィール>
東京の染織作家。 郡上紬の人間国宝、宗廣力三氏に3年間師事した後独立。 自宅で草木染めの織物を展開。細い糸を多色に使うことで織をより立体的にし、身に付けた時の微妙な色の反射を活用して、その物自体が何かを問いかけるような感触の作品を作り出している。 その作品は、別名「煌きを織り込む」とも言われている。「2年の歳月は・・・」
泉二:
2年ぶりの和織での作品展になりますが、またよろしくお願いします。平山:
こちらこそ宜しくお願いします。もう2年も経つんですね。なんか昨日の様に思います。こちらでの作品展が終わってからずーっともとじさん関係のお仕事をして来ましたから2年も経っているなんて思えないです。泉二:
そうですか。いや私もスタッフも「2年も経ったんだ! 」って皆、びっくりしています。 ま、先生とは良くお目にかかっていますし、先生の作品とも触れる機会があるのでスタッフもそう思うんでしょうね。先生にとってこの2年の歳月はどんなでしたか?平山:
試行錯誤をしながらより良い作品を作りたいという想いで 色々と物づくりをしていました。 今回の展示会に向けて「一点ずつオリジナリティーのあるものを心掛けて作った」というのが今の気持ちです。『オリジナリティー』と私が宗廣先生からよく言われた「平凡を非凡に」と言う言葉がだぶるんですね。先生のお言葉はいつも「平凡と言うのは皆に愛される着物のデザインと言うことだ。そこに君だけにしか織れない色、デザインなどを加えて作品を非凡にする」と言われていまして。それが今回の「オリジナリティー」になりました。私の織った着物や帯を着たり見たりすることで、ホッとしていただけたり、元気が出たり、何かを感じてもらえたら本当に嬉しいと思っています。 今回出させていただく「緯糸に真綿紬糸と生ぐり生糸」を使った織物も色々と考え試した挙句に出来た作品です。 艶のあるしゃっきりとしたそれでいてとっても暖かい印象のある作品になって嬉しくなりました。20点の新作を作りましたが、ひとつひとつ子供が育っていくような感覚で愛しいですし、喜んでもらえる人の所にお嫁に行って欲しいと願ってしまいますね。(笑)泉二:
先生の作品はそこに先生の気持ちが入るからなにか力があるんですよね。それにしてもここ2年の間に、先生は伝統工芸展に入選したり、賞を頂いたりと本当にご活躍ですよね。今年は財団法人民族衣装文化普及協会から「きもの文化賞」と言うのを受賞されたそうですし、伝統工芸展にもご夫妻で入選されたんですよね。本当におめでとうございます。平山:
はい。ありがとうございます。伝統工芸展は主人が陶芸で私が織で入りました。二人揃って入選はやっぱり嬉しいですね。 もうひとつの受賞は思っても見ないことだったのでびっくりしました。でも誰かが何処かで認めてくださるって言うのは本当に嬉しいことだと思います。泉二:
そうですね。それは先生が毎日毎日惜しまずに作品作りに力を注いでいるからだと思います。今回の展示会のテーマは?
泉二:
今回の展示会のテーマは何ですか?平山:
もちろん「銀座の柳染め」です。本当にここ2年間良く柳を染めました。柳は強い色は出ませんが上品で優しい色に染まります。それに育った環境によって本当に色が微妙に変わるんですね。泉二:
先生には素晴らしい柳染めをいつも作っていただいて感謝しています。柳染めも色々とバリエーションが出てきて楽しくなってきましたよね。私も1年前から「清楚な紬」って言うのをテーマにしていましたから、先生の作ってくださる「上品な」と言う着眼は手をパチッと叩きたい位です。恩師 宗廣先生の教えが・・・
平山:
私は近頃、宗廣先生が仰った「自分の目の高さのものしか見えないよ! 」って 言う言葉を良く思い出すんですよ。大好きな仕事を良い状態で続けていくために健康でいたいって切実に思います。心も身体も平常心の中で、その高さを保っていけるような生活を送って行きたいと。そしてそのための努力は決して惜しまないで居たいと思っています。平常心が形になったのが私の紬織の仕事だと思います。泉二:
感動しますね。そういう先生の作品が30点以上和織に並ぶのは本当に素晴らしいことだと思います。そのうちの「3分の2が新作! ! ! 」本当に展示会が楽しみです。平山:
「着物を通して幸せを掴みましょう! ! 」って思います。着て下さる方々も、お世話してくださる販売スタッフの方々も、そして織手の私も! そう思うと感謝、感謝です。会期中は全ての日のお昼過ぎからは和織にお伺いして皆様とお話したいですし、こちらもお客様から勉強させていただきたいと思っています。ちょっとお邪魔でしょうが宜しくお願いします。泉二:
いえいえ、こちらこそ6日間よろしくお願いします。中日の10月17日の日曜日に先生主催の茶話会を和織で午後7時から行うんですよね。平山:
はい。わがまま申し上げてすみません。お客様とよもやま話が出来たらと思っています。宜しくお願いします。泉二:
こちらこそ宜しくお願いします。