2019年5月10日(金)から12日(日)まで、銀座もとじ和織にて「空間に溶けゆく布 ― 上原美智子のあけずば織」展を開催。11日(土)の朝10時からは「和織物語」を執筆してくださった多摩美術大学教授・外舘和子さんをお招きしてぎゃらりートークを、さらに11日(土)、12日(日)の午後3時からは作品解説のミニトーク会を行いました。
ぎゃらりートークでは、ヨーガンレールのコレクションで制作された大判のストールが飾られ、透き通った色彩のベールを背景に上原美智子さんが辿ってこられた道のりや、沖縄でのものづくりの日々についてお話を伺いました。
また特別に、3.7デニールの超極細の糸で織られたショールをご持参くださり、お集まりの皆様にご覧いただきました。溶け入りそうなほどに透明な薄布を空間に放つと、しばし空中にとどまり、まさに『空気に支えられてそこにふわりと“置かれている”(「和織物語」より)』という様子。その後ゆるやかに重力を帯びて舞い降りる薄布の行方に、会場中が目を凝らし、息をのみました。
冒頭、外舘和子さんから国際的な評価を交えながら紹介いただくと、「こそばゆいです…箱があったら入りたい」と照れ笑いを浮かべて背を丸くされる上原美智子さん。今も少女のような心でものづくりに取り組み、「完成形ではなく、現在進行形なんです」と仰います。
染織を志したきっかけや、今も胸にある亡きお兄様の言葉、作品を通じて届けたい思いなどをお伺いし、また中盤では工房での制作風景の映写や朗読も。とても内容の濃い1時間となりました。
お集まりくださった皆様、お店やオンラインショップ等で作品をご覧くださった皆様に、心より御礼申し上げます。