長い付き合いである。和織が開店して間もなくの頃、現在の「男のきもの」の店舗に客として訪れてから付き合いは始まった。本店は一丁目にあった。社長はまだ50歳の手前だったように記憶している。
作り手としては25年、母の死によって「着る人」にもなろうとしていた絶妙のタイミングでの出会いであった。しかもギャラリーを探していた。探しあぐねてどこかないかと相談をしたところ、「もとじでやればいいよ」という返事。いい加減な話である。
20年以上が経った。目の肥えたたくさんのきもの好きに出会い、たくさんの優れた作品と作家に出会い、そうしてわたしは育てていただいた。誰かを想定して着物を染めることはないが、あたかもそうしたように劇的に似合う人の元にいく。それもこの20年で得た確信だろうか。そここそが面白さなのかもしれない。付き合いはもう少し続きそうだ。
令和2年5月1日
こくたせいこ
こくたせいこさんのご紹介
こくたせいこさんが生み出すのは、無駄を極限までそぎ落とした線と面の世界。
そこから見えてくる真意は、纏う人を際立たせたいと願う思い。
ろうけつ染めは模様部分を蝋で防染し染色する伝統的な染色法で日本では正倉院宝物に見られるなど、天平時代から見られる染色技法です。
無数の点が一本の線となり、身に纏うことにより面が構成されます。
一筋の線が身体を包む 瞬間に女性らしい曲線 美に変わることを熟知し、潔い一 筆が進みます。シンプルなデザインとモダンな色彩美に纏う人への深い思いが重なります。
銀座もとじ和染 2001年初個展以後、2019年まで2年毎に開催
2010年 30周年記念展
2015年 35周年記念展
2020年 40周年記念展