伝統文化である織物の職を父から受け継いだ事で日本人としてのアイデンティティを授かった気がしています。織りは多くの工程で沢山の人の手を要しながら、次の工程に繋げていくもの、誰の手も欠かせません。
誰かの身に纏われるまでに更に想い有る人が伝え繋ぎます。この職によって多くの素晴らしい出逢いに恵まれ励まされて今が有る自分にとって、伝統文化として残そうという揺るぎない想いを皆さんと共有して紡ぎ繋ぎたいと強く思います。
令和2年4月14日
下井伸彦
下井伸彦さんのご紹介
長野県生まれ。現在も生まれ育った地で工房を構えものづくりをしています。
東京でテキスタイルデザインを勉強された後、37歳でお父様の家業をついで飯田に戻り、染織の道へ進まれました。
信州は絹織物の一大産地であり、生産される地域によって「上田紬」、「飯田紬」、「伊那紬」、「松本紬」等があります。下井さんは糸作り、植物染料による染色、織りに至る全ての工程を一人で手掛けられており、ご自身が染め織る紬には「下井紬」と名付けています。
経糸、緯糸から織り成される生地の風合いにこだわり、色調は渋く深みがある色味から心やすらぐ澄んだ色味まで、縞・格子・絣・無地調の織柄が生かされるよう、細部に至るまで試行錯誤の配慮が見えます。大人のこだわりをさり気無く、纏う人が主役になれる着物や帯を織り続けています。
男のきもの オリジナル着尺、男のきものオリジナルコレクション2015AWより着尺制作