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田中敦子さんからのメッセージ

世界中、すべての人々が、正解のない、先の見えない、不安な状況の中で日々を過ごしていることと思います。そんな中でも、自然の恵みを受けて人の手が生み出す美しい品々を身に寄せると、安らぎと元気を取り戻せるように感じています。

銀座もとじさんで『和織物語』を書かせていただくようになって、トーク会にいらっしゃるお客様との交流が生まれました。拙著をご愛読くださっている方が話しかけてくださったり、きもののコーディネートについて質問してくださったり。雑誌や書籍の仕事では、直接読者と接するチャンスは少ないため、とても貴重な機会です。

しかも、みなさん私以上にきもの熱に取り憑かれている方々ですから、きもの談義をさせていただくことで、また執筆企画のヒントが生まれたりもします。

ほんとうにありがたく、この場を借りて御礼申し上げます。

お客様とご一緒できた機会として何より思い出深いのは、『プラチナボーイ物語』の取材で、養蚕農家や製糸場、織物工場を旅したこと。おひとりおひとりがキラキラした目で見学し、お手伝いやワークショップに熱心に取り組み、食事の時間にはきものトークで盛り上がる。そんなみなさんとともに行動できたことは、きものの記事を編集、執筆してきた私にとって、勇気をいただける嬉しい経験となりました。

きものの楽しみは、何よりお洒落心を満たすところだと思っています。

文化を守るという大それた使命感で着ているわけではありません。でも、きものを着ることで、自分の選んだ一枚にも、歴史や文化があって、人の営みがあって、という物語を知ると、ぐんと奥行きのあるお洒落になります。知らないうちに、誰もが「きものインフルエンサー」になっていて、新しいきものファンを生み出す力を携えます。いい意味での連鎖が、銀座もとじさんの企画から始まり、銀座もとじさんのお客様から広まっていく。きっとこの流れが、今の状況を無事乗り切ったのちには、きもの文化を守っていくための常套的な手段になるのではないかと感じています。

今しばらくは、きものでお出かけできませんが、自分のワードローブを虫干しがてら見直して、その物語に耳を傾けようかと思っています。

令和2年4月17日
田中敦子


ぎゃらりートークにて、山岸幸一さんと。

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田中さんに執筆いただいた和織物語はこちら

和織物語 吉岡幸雄
色彩の架け橋~吉岡幸雄展~

 

極みの単衣 本場結城縮|和織物語
極みの単衣 本場結城縮
久米島紬 ~自然の恵みとユイマールの心~|和織物語
久米島紬 ~自然の恵みとユイマールの心~

田中敦子さんのご紹介

きもの、染織、工芸を中心に歴史的な背景も踏まえ、古来の風習や慣わしが暮らしの営みを通して、私たちへ生き続いていることを書き伝えています。
自らも着物を愛し、作り手の眼差しと同じ目線で、「この細い一本の糸を手繰り寄せると、未だあなたが知らぬ世界が開けますよ」、そんな好奇心の扉の前に読む人を誘います。その喜びが伝わり繋がっていくことを心から願う姿、そして書籍は幅広い世代から支持を得ています。

著書
『きもの自分流―リアルクローズ―入門』(小学館)
『もののみごと 江戸の粋を継ぐ職人たちの、確かな手わざと名デザイン。』(講談社)
『インドの更紗手帖 世界で愛される美しいテキスタイルデザイン』(誠文堂新光社)
『きもの宝典 きものの花咲くころ、再び』(主婦の友社)他、編著書多数。

 

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