同じ植物で同じように糸を染めてもその時々で印象は違います。
構想を考え様々な工程を経て緯糸を入れる時、今回はどんな『織り』と出会えるかと毎回どきどきします。
お召し頂く方を想像しながら、心を込めて織るようにしています。
制作は孤独な道のりです。
日頃、お客様と接する機会は多くありません。
もとじさんの作品展では直接お声を聞かせて頂く事ができ、勉強にもなり嬉しいひと時です。私の織った着物でお越し頂いたお客様、その御方の風格もあり、とても素敵に着こなしてくださっていました。
着物は作り手の想像を超え、着て頂く方が命を吹き込み、進化させてくださるのだと改めて感じた日でした。
着物との出会いは、偶然でもあり、また運命のようにも思います。
銀座もとじさんは作り手の想いをお客様に繋げて頂く架け橋。
またお会い出来る日を楽しみに織り続けていきたいと思っています。
※穀織(こめおり)の「穀」は、左下が「禾」ではなく「一」に「糸」
海老ヶ瀬順子さんのご紹介
北村哲郎著書「日本の織物」で「穀織」と出会い、当時、師であった北村武資氏より教えをいただく。
以後30年間、穀織一筋、天然染料での染め織りは勿論のこと、紋紙製作、綜絖、筬通し、ふるえも全てご自身で仕掛けられます。
幻想的な絵羽着物は上品な清涼感、心に響く詩情あふれる織景色を奏でます。
第54回日本伝統工芸染織展にて、 穀織着物「ティータイムの甘い香り」が奨励賞・三越伊勢丹賞を受賞。
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