《男のきもの シーズナルコレクション》2023秋冬“1923”
販売開始:2023年10月6日(金)~
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今からちょうど100年前の1923年9月1日。
首都圏に未曽有の被害をもたらした関東大地震が発生。
銀座一帯も瓦礫の街と化した。
しかし、人々はいち早く立ち上がり
バラック建築を建て、2ヶ月後には営業再開。
その逞しさは、小説家・水上瀧太郎の「銀座復興」にも書かれている。
壊滅的な街で、ほぼ無傷で残った建造物がある。
近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトが手がけた「帝国ホテルライト館」。
完成披露宴のまさにその日に震災が起き、
後に大震災を耐えたホテルとして世界に知られることとなった。
絶望からの復興の途上で
人々は何を見て、何を考え、どのように生きたか。
当時人々が目にしたであろう銀座の景色、
100年前の記憶と現代を行き来しながら、想いを馳せる。
コーディネートについて
【男のきもの シーズナルコレクション】草木染の情熱をアクセントに、時代を生きる
羽織と着物の縞で縦方向に流れを作りつつ、草木染の角帯と、天然石の羽織紐で個性的なアクセントをプラス。流れの速い激動の時代に、天然の植物色素と石で情熱的に生きるエネルギーを表現しました。
外国人の方へのプレゼンテーションやおもてなしの際に、世界では廃れてしまった草木染めが日本ではいまだに脈々と生きていることをエピソードにできる装いとしていかがでしょうか。
《男のきもの シーズナルコレクション》2023年秋冬
小紋「ゆらぎ縞 消炭色」
栃木県産の大谷石は、もともと日本で石蔵などに使われていましたが、フランク・ロイド・ライトが帝国ホテルの設計に際し用いたことで広く知られるようになりました。その帝国ホテルライト館の外装はもとより内装にもふんだんに使われ、石でありながら温かみのある装飾文様が間接光で照らされ、威厳がありつつも安心感のある独特な空間にしています。
京都の職人が、型紙を起き全体的にムラ刷りで染め上げ、揺らぐ縞柄が温かみのある大谷石の質感を表現しています。
お召「木目縞 ロウしけ引き染め 海老茶色×墨」
関東大震災で全焼した銀座には、焼け出された人々が瓦礫の中からありあわせの材料を使って作り上げた仮設の建築、いわゆる「バラック建築」が建ち並んだ。その際に使用された、トタン板や樹木の枝の質感を、当時の流行色・海老茶の地色に職人が手描きでロウで“しけ引き染め”を施し、色の濃淡や線の強弱で表現。
手書きによる揺らぐ線が独特な染表情となり、さりげない個性を引き立てます。
【山崎広樹】草木染 角帯「夜明け」
【作家コメント】
山本鼎(かなえ)の農民美術研究所をモチーフにその志が人々の心に広がっていくイメージを表した。夜明まで合宿をしながら技術を学び夢を語り合ったのではないかと想像する。自由に創作することから人々の生活を開こうとした志は震災後の草木染の普及活動にも深いところで影響を与えていると感じている。作品を作りながらその時代の想いや感覚に近づいてみたかった。
染料:松煙、コチニール、日本茜、エンジュ
型紙で表現された三角屋根の家のモチーフとなった、農民美術研究所が建てられたのが1923年1月。 作者・山崎広樹さんの曾祖父・山崎斌(あきら)さんは、今日「草木染め」の名付け親として知られています。18歳のころに山本鼎と出会い、10歳ほど年上の山本をとても慕っており、山本鼎の提唱した農民美術運動※1はのちの草木染、月明運動※2にも深く影響を与えました。 また、山本鼎の影響で若山牧水に出会い、文学の道に進むきっかけを作ってもらい、一緒に雑誌を作るなど交流が多かったようです。 そんなご自身の曾祖父の時代に思いを馳せながら、作品を作って頂きました。