人間国宝認定記念展
「古き」をまもり「新しき」を描きだす 松原伸生の長板中形《終了しました》
会期:2024年5月24日(金)~26日(日)
>>催事詳細
コーディネートについて
【松原伸生 長板中形】「麻の葉文」綿着物に紅型宮古上布帯で、上質な大人の洒落着スタイル
松原伸生さんの長板中形の綿着物は、単衣時期には綿や麻襦袢などを重ねて「単衣の綿着物」として、盛夏時期には「上質な浴衣」として、長く楽しんでいただける着物です。
松原伸生さんの明るい藍の色味と長板中形ならではの抜けるような白は、自然布の茶と合わせることでとてもよく引き立て合います。
今回は盛夏の装いとして。
麻の葉の綿着物に、宮古上布に染め上げた玉那覇有勝さんの紅型帯を合せて。紅型の中に藍が入っているので品よく馴染みます。麻生地の上なので、紅型の色味も少し抑えられ、より都会的な表情の帯に。
帯締め帯揚げも色を抑えてすっきりと。
綿のリラックス感がありながらも、風格さえ漂う上質な大人の洒落着スタイルです。
盛夏のご友人や家族との食事会に。
江戸時代の浴衣にルーツを持つ「長板中形」の第一人者、松原伸生氏。日本工芸会を牽引され、2021年「紫綬褒章」を受章、そして2023年「重要無形文化財 保持者(人間国宝)」に認定されました。
人間国宝の祖父・定吉氏の仕事を継ぐ父・利男氏のもと、19歳で長板中形の道へ入り、今年58歳。
落ち着いていながら明るさのある絶妙な中間明度の藍は松原伸生さんならでは。藍の凛とした清々しさと深い味わいをともに感じさせる藍彩により、型模様の魅力を最大限に引き出し、日本人の肌を美しく映します。
松原伸生氏についてはぜひ以下をお読みください
【和織物語】「古き」をまもり「新しき」を描きだす―松原伸生の長板中形
【作家産地】「松原伸生」
【松原伸生】長板中形
藍染め 綿「麻の葉文」
絶妙な藍の明度の顔映りの良さと、極上の綿布の滑らかさは格別で、着ていて本当に気持ちが良いと皆様仰います。
単衣時期の気軽な食事会や観劇、盛夏は夕涼み会へ。着心地も良く、彩りも涼感があり、暑さを感じる季節の大人のカジュアルシーンの上質な社交着として、きもの上級者の方にこそご満足いただける綿着物の逸品です。
《女性:着回し例》
・4月末頃~5月中旬 先取単衣として平織りの綿や麻の長襦袢(半衿は塩瀬や楊柳)と共に着用。帯は紬地の名古屋帯や半巾帯など。
・5月下旬~6月 上記の長襦袢の半衿を楊柳や絹絽、麻にして季節感を演出。帯は夏用の紬や麻、絽綴れ、自然布、半巾帯など。
・7月~8月 夏着物としては上記同様。盛夏は浴衣として長襦袢無しでも着用可能。
《男性:着回し例》
・4月末頃~5月中旬 先取単衣として平織りの綿や麻の長襦袢(半衿は塩瀬や楊柳)と共に着用。帯は紬地や博多など。薄羽織をつけても、着流しでも。
・5月下旬~6月 上記の長襦袢の半衿を楊柳や絹絽、麻にして季節感を演出。帯は夏用の紬や博多、麻、絽綴れ、自然布など。薄羽織をつけても、着流しでも。
・7月~8月 夏着物としては上記同様。盛夏は浴衣として下駄を合わせた粋なスタイルもおすすめ。
長板中形とは
江戸時代に浴衣地として発展した藍の型染め。
両面染めによる藍と白の明快な対比が真骨頂。
「長板中形」とは、江戸時代から伝わる伝統的な型染技法のひとつ。大紋(大形)と小紋(小形)の中間の大きさの模様型を使用することから「中形」と呼ばれるようになり、江戸時代より主に木綿の浴衣地が染められてきたため浴衣の代名詞にもなっています。
約6.5メートルの長いモミの一枚板の上に生地を張り付けて型紙を置き、防染糊を置いて、天日干しと豆汁引きの後、藍甕で浸染して美しい藍色に染め上げます。
「両面に防染糊を引く」というのが大きな特徴で、両面の同じ場所に糊を置いて藍甕で染めるため、藍と白のコントラストがより鮮やかに浮かび上がります(片面だけ糊置きをすると、裏面は全面藍色に染まり、白の背景に藍色を感じる色になります)。この藍と白の明快な対比の美しさが長板中形の魅力です。
長板中形の制作工程《松原伸生さんの匠の技》(2022年公開)
《3分で解説》「松原伸生の長板中形」5つの見どころ(2022年公開)