今年で23年目を迎えた、泰明小学校での「銀座の柳染 課外授業」。8月に柳の剪定を行い、その枝葉を大きな寸胴鍋で煮出した「柳の染料」を用意して、待ちに待った「染めの授業」の日がやってきました。
今回は、草木染色家の山崎広樹さんが「染めの先生」としてご参加くださり、雨天のため大講堂での開催となりました。
5年生の生徒が各班に分かれて「ハンカチ染め」と「反物染め」を行い、染め終わった後には、奄美大島・大勝小学校とモニターを通じた「オンライン交流」を楽しむという盛りだくさんの一日です。
ハンカチ染め
この日を迎えるまでに、子供たちには一人三枚の綿素材の白いハンカチが配られています。一枚は自分に、もう一枚は大切な人に、三枚目は交流先の大勝小学校のお友達へのプレゼントです。
ビー玉などで創意工夫して絞りを施したハンカチを柳の染液に浸した後、アルミ・チタン・泥の三種類の媒染液のどれか一つに浸すことで、化学反応によりアルミは黄色、チタンはオレンジ色、鉄分を含む泥はグレー色に染まります。空輸で届いた奄美大島の泥は、子供たちの一番人気。豊富な鉄分を含み、大島紬の泥染めにも使われています。
水洗いしてそっと絞りを解けば・・・世界に一つの模様が浮かび上がります。
反物染め
「銀座の柳染 課外授業」では、毎年クラスごとに一反の正絹の白生地をプレゼントしています。柳の染液で下染めした反物をまっさらなキャンバスに見立てて、媒染液を含ませた絵筆で思い思いの絵を描きます。
今年のテーマは「銀座」。歴史のある建物や銀座の柳、愛着のある学校の校章など、はみ出さんばかりにのびのびと描いていました。
大勝小学校とのオンライン交流
染めの後は2017年から始まったお愉しみ企画、奄美大島・大勝小学校の皆さんとのオンライン交流です。
奄美大島と東京という遠く離れた地で、「銀座の柳」を通して出会った子供たち。まったく違う環境で暮らす大自然っ子と都会っ子たちは、お互いのことに興味津々です。「奄美の良いところは?」「学校で流行っているものは?」質問が飛び交い、元気な声が講堂中に響き渡りました。
奄美大島に伝わる「八月踊り」の話題が出ると、奄美大島出身の店主・泉二も身を乗り出して泰明小学校の子供たちに踊り方をレクチャー。画面の向こうもこちらも、皆で一緒に踊りだす一幕もありました。
こうした子供たちの交流の前には、「銀座の柳」が二つの地を繋ぐ橋渡しをしていました。毎年奄美大島から新鮮な泥染用の泥土を空輸で送っていただく恩返しを兼ねて、2008年、泰明小学校の「3世柳」を奄美大島の店主 泉二の母校である大勝小学校に挿し木にして植樹。その柳の木は乾燥した土壌でありながらすくすくと逞しく育ち、大勝小学校の子供たちを見守っています。