「松枝家の久留米絣―藍と光の探求と展開」
会期:2025年3月7日(金)~9日(日)
>>作品一覧はこちら
こちらは【平成12年 第35回西部伝統工芸展 入選作品】です。
工芸展出品作品は、作家の思い入れが別格です。松枝小夜子さんの入魂の逸品、独特の世界観を存分にご堪能いただける作品です。
作者:松枝小夜子
作品名:「薫風」
【作家コメント】
「初夏の薫る風、さわやかにきらめく」
「松枝家」について
「松枝家」は、150年間にわたって絵絣の技を継承する久留米絣の名家。
3代目である故・松枝玉記(たまき)氏は久留米絣の分野で国の重要無形文化財保持者(人間国宝)となりました。
久留米絣は、八女地方の小柄な男絣と、久留米市南部の大柄な絵絣の2種に大別されますが、松枝家に伝わるのは後者の「大柄な絵絣」です。
筑後の自然風景、風や雨や光や影、そして宇宙にまで思いを馳せ、絣紋様に意匠化して写し取ります。豊かな詩情あふれる世界観を藍と白のコントラストや藍の濃淡染めで美しい諧調を表現した作品は、見る者に深い感動を呼び覚ます力強さがあります。
「松枝家の久留米絣」につきましてはぜひこちらをお読みください。
著者:外舘和子(多摩美術大学教授)
>>【和織物語】「松枝家の久留米絣―藍と光の探求と展開」
松枝小夜子さんについて
1956年、熊本市生まれ。芸術大学卒業後、重要無形文化財「紬縞織・絣織」保持者の宗廣力三氏の作品に出会い染織の道に進むことを決意。宗廣氏が主催する郡上工芸研究所での修行を経て、1985年、松枝家の5代目当主・松枝哲哉さんとの結婚を機に久留米絣の道へ。久留米絣の世界に「女性作家」という在り方を示してきた先駆的な一人です。1988年には日本伝統工芸展初入選を果たされ、1997年に日本工芸会正会員に認定。
2020年に哲哉さんが永眠された後、ご子息・松枝崇弘さんとともに、工房「藍生庵(らんせいあん)」にて制作活動を続けられています。
哲哉さんと同様、作品のテーマは「光」と仰いますが、哲哉さんが宇宙や夜空の光をイメージさせるのに対し、小夜子さんは昼間の日差しの光や、風がそよぐリズムを着物に映す傾向があり、大らかな構成を感じさせます。
現在、小夜子さんは「重要無形文化財久留米絣技術保持者会」の副会長であり、後進の指導も精力的にされています。
《着用季節について》
久留米絣は単衣仕立てで楽しまれることが一般的です。着用季節は、帯次第で幅広く、暖かさのある袷から単衣の季節、4-6月、9-11月頃を中心に長くお召しいただけます。
【作家産地】「松枝小夜子」ご紹介
【記事一覧】「松枝家と銀座もとじ 出会いからの歩み」
《3分で解説》「松枝家の久留米絣」5つの見どころ
【和織物語】「松枝家の久留米絣 - 継承と展開」
【メッセージ】2020年 弊店40周年へ向けて
【メッセージ】2022年「今、父との記憶に立ち返り」松枝崇弘
【YouTube動画公開中】松枝家の久留米絣の魅力