■「二大巨匠展 競演する織と染―北村武資と森口邦彦」《終了しました》
会期:2022年2月19日(土)~27日(日) >>催事詳細
コーディネートについて
森口邦彦氏の「緑風」と題された裾から肩にかけて柄の変化が美しい訪問着。三角から亀甲へと移り変わる着物に、北村武資氏の亀甲柄の経錦の袋帯をあわせて、洗練されたリズムの競演を楽しんで。オペラ、パーティなどへ。
人間国宝 北村武資 『経錦(たてにしき)』
2000年 重要無形文化財保持者認定
《歴史と技法》
「経錦」は中国の前漢時代にはすでに完成した織物として存在し、日本では正倉院宝物の「蜀江錦」などにその技法が見られます。大変複雑で高度な技術を要し、比較的製織が容易で華やかな「緯錦(ぬきにしき)」の登場とともに、奈良時代以降には衰退していきました。
複数色の経糸(基本は三色)を一組として、地色や文様に必要な経糸を表に浮かせ、その他の糸を裏に沈めるために緯糸を通しながら織り進めます。数色の糸を一組とするため経糸が通常より細く密になり、織成上の制約が大きいとされます。
最小限の色糸と複雑な組織で織り出される静謐な錦。
緻密で引き締まった織りの質感に「高い格調」が漂います。
袋帯「経錦 松亀甲文 香色×薄ねず×白ねず×金」
松を亀甲文にあしらった吉祥性豊かな意匠。香色をベースに、薄ねずと白ねず、そして一部にのみ金糸を使用していますので、風格がありながらも華美にならず品よく楽しめます。経錦は経組織のためシワになりにくく締めやすいという特性があります。やわらかものはもちろんのこと、絵羽紬や上質な紬にも最適です。
人間国宝 北村武資
1995年『羅』/ 2000年『経錦』 重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
1935年京都市生まれ。15歳から西陣で織物を学ぶ。古代に発展し途絶えた織り技法を独学により復元し、日本国内染織作家の中で唯一、2つの技法で重要無形文化財保持者に認定。1996年紫綬褒章、2005年旭日中綬章 受章。
【作家産地】「北村武資」のご紹介
【和織物語】「深遠なる空間の美―北村武資の織」
人間国宝 森口邦彦 訪問着「緑風」
吹き抜ける爽やかな風を思わせるリズミカルな意匠です。
人間国宝 森口邦彦
2007年『友禅』 重要無形文化財保持者(人間国宝)認定
1941年京都市生まれ。1963年に京都市立美術大学(現・ 京都市立芸術大学)日本画科を卒業後、渡仏。パリ国立高 等装飾美術学校でグラフィックデザインを学び、1966年卒業。帰国後、『友禅』重要無形文化財保持者(人間国宝)であった父・森口華弘氏の下で友禅技法を学ぶ。
1988年仏政府レジオン・ドヌール勲章、2001年紫綬褒章、2013年旭日中授章 受章、2020年文化功労者に選定。
2014年リニューアルされた三越のショッピングバッグに友禅訪問着のデザインが採用されたことでも知られ、父・華弘氏が花鳥風月の古典美をモチーフにした作風であるのに対し、幾何学模様を配したグラフィカルな表現を極められています。作品はV&A博物館、NYメトロポリタン美術館をはじめとする世界の主要美術館に所蔵されるなど、海外でも高く評価されています。
【作家産地】「森口邦彦」のご紹介
【和織物語】「視覚の冒険―森口邦彦の錯視的抽象の友禅」