こちらは、銀座もとじが繭からプロデュースしている極上の純国産絹糸「プラチナボーイ」の絹布を用いて、高橋寛さんに染め上げていただいた特別な作品です。
高橋寛さんの技法は「手作業による筒糊」。
生地の上に無数にあらわれた点描は、「蒔糊(まきのり:乾燥した糊を砕いて蒔く)」による防染ではなく、「筒糊からひとつひとつ手作業で糊を置いていく」という気の遠くなるような手法によるものです。
友禅作品全体でみても、点描のみで表現された作品は希少です。
点の密度の微妙な変化によって模様の面に立体感や奥行きがもたらされ、糊の線描と点描と地染め(引き染)の関係のみで表現される豊かな意匠性は唯一無二。
寒色系の色使いと幾何学的な文様がもたらすモダンさは、自然界とは無縁の幾何学的な要素のみでつくられているかに思われますが、具象・抽象の概念を越えて、水の流れ、風に揺れる枝などの「自然のダイナミズム」を表現しているといいます。
師・人間国宝 中村勝馬氏の「商業主義にとらわれず、時流との妥協をできるだけ避け、最小限度の生活ができる範囲で自分の道を進む」という硬派な思考を受け継ぎ、お一人でストイックに仕事をされ、独自の世界感を追求し続ける一方、日本工芸会にて、後進の育成にも注力。それゆえに制作数が大変少なくいらっしゃいます。
■プラチナボーイ 訪問着「菱」
こちらは、銀座もとじが繭からプロデュースしている極上の純国産絹糸「プラチナボーイ」の絹布を用いて、高橋寛さんから図案をご提案頂き、銀座もとじ側と相談の上、現代のきものシーンに似合う柄のボリューム、佇まい、空間構成を決めて、染め上げていただいた、【銀座もとじ限定】の特別な作品となります。
全体にグラデーションする美しいぼかしと、菱がところどころ開いている構成が、ドラマチックな作品となりました。衿元は左右で濃淡があるため片身替わりのようになり、大変印象的な前姿を演出いただけます。
お色味は高橋寛さんもお好きと仰る、作品に多用されている墨黒系。真っ黒ではない絶妙なニュアンスカラーが、まさに高橋寛さんらしいお色味です。
プラチナボーイならではの滑らかな肌触りと光沢感は別格です。絹本来のしなやかな輝きが着姿の高級感を高め、最高の社交着として纏っていただける逸品です。
高橋寛さんの訪問着は、演出次第で格を幅広く楽しめるのが大きな魅力です。
訪問着として袋帯を締めれば、パーティーやオペラ、特別な観劇等の華やぎのシーンへ。
総柄の小紋感覚で織名古屋帯、染名古屋帯を締めれば、食事会やコンサート、観劇、ちょっとしたお集りにも大変使い勝手がよく、上等なワンピースのように着こなせます。 流れるような構図が着姿へ注がれる視線をすらりと美しく導き、スタイルよく見せてくれるのも特長です。
大胆に感じられますが、纏うと全体がすっきりとなじみ、バランスがとても綺麗に整い、ご身長的にも幅広く着こなしていただける力がありますので、ぜひ羽織って鏡映りをご覧になっていただきたい作品です。
全方位美しい構成は息をのみます。後ろ姿の美しさも素晴らしいです。
訪問着でありながら小紋感覚にも楽しめることは、フォーマルの機会よりも日常の着用が多い現代のきものシーンにとても重宝いただけます。
まさにリアルクローズの「大人の上質な社交着」。
歌舞伎座などの和空間から、現代建築のモダン空間、どちらにも映える着物です。
高橋寛さんについてはぜひ【和織物語】もご覧ください。
>>【和織物語】「糊の点描と線描~高橋寬の友禅の粋~」(2017年公開)
著者:外舘和子(多摩美術大学教授)
発行:銀座もとじ
>>【作家産地】「高橋寛」作家詳細はこちら
プラチナボーイについて
【プラチナボーイ】は37年かけて日本の研究者が開発した、世界で初めてオスだけの繭から作られた特別な絹。銀座もとじが繭からプロデュースし、すべての商品に作り手たちの詳細を記し、履歴のわかる“純国産”のものづくりを進めています。2015年には『農林水産大臣賞』を受賞。その開発から、養蚕、製糸、染織、着物につくられるまでを追ったドキュメントは一冊の本『天の虫 天の糸』に綴られています。
【銀座もとじの挑戦】プラチナボーイ
【和織物語】プラチナボーイ物語「天からの贈りもの」