重要無形文化財に指定されている伝統的な綿織物「久留米絣」のご紹介です。
製織:中尾一美
久留米絣は、200年ほどの歴史がある織物で、綿織物で初めて国の重要無形文化財に指定された織物です。着て洗うたびにその風合いが増し、耐久性にも優れている上、綿ならではの肌あたりの良さや手入れのしやすさも相まって、明治時代以降は庶民の普段着として広く普及し、最盛期は200万反以上もの生産数を誇ったといいます。民藝運動の父として名高い柳宗悦も著書『手仕事の日本』の中で「おそらく日本のどの国の人も、これで着物を拵えたでありましょう」と記しています。
久留米絣の魅力は、
目に冴える藍と白の力強い絣の美しさ。
綿布ならではの素朴で温かみのある肌触り。
現代のシンプル好みの着物とはまた違った、クラシカルな絣柄に心癒される情緒があります。大人の上質なリラックスシーンの綿着物として根強いファンが多く、いつかはと憧れていらっしゃる方も多いことと思います。
久留米絣は単衣仕立てにされることが一般的で、帯や襦袢の素材を替えて、寒い季節には暖かく、暑さを感じる季節には涼しく、上手に着こなして、真夏以外の春秋冬のスリーシーズン楽しめるのも魅力です。
夜空に白く瞬く星のような、美しい絣に心ときめく綿着物です。
肩の力を抜いて楽しむ大人の休日に。
丹波布や織八寸帯を重ねてリラックススタイルに、
型絵染や織九寸帯で少しきちんと感を出してご友人とのランチへ。
藍ベースですのでコーディネート力も抜群です。
季節毎の自分好みのスタイルを見つけてぜひお楽しみください。
久留米絣について
伊予絣、備後絣とともに日本三大絣の一つに数えられる久留米絣は、福岡県久留米市周辺、および周辺の旧久留米藩地域で生産される綿織物で、200年ほどの歴史があります。機械織りや化学染料などが導入される中で、手織り・手括り・本藍染といった昔ながらの技法を守りぬき、1957年には、国の重要無形文化財に指定されています。
寛政年間の頃、当時12歳だった井上伝(いのうえでん)という女性が、着古した着物が色あせて白くまだらになっているのに興味を持ったことから、その生地をほどいて研究し、絣模様の織物を考案しました。模様が“かすれて”見えることから「加寿利(かすり)」と名付けられたのが、久留米絣のはじまりと言われています。久留米藩が産業として奨励していました。
※重要無形文化財の指定条件
「手括りによる絣糸を使用」 「純正天然藍での染織」 「なげひの手織り織機で織る」
【作家産地】「久留米絣」ご紹介
【知るを楽しむ】「久留米絣」の創始者・井上伝と「東芝」の創業者・田中久重の意外な繋がりとは?