人間国宝 甲田綏郎(こうだよしお)作の精好仙台平の袴地です。
立ち姿や座った時の生地のハリや美しさ、絶妙な色加減や色合わせは、袴の最高峰として別格の佇まいを演出します。
まさに男性の勝負の一日の装いにふさわしい逸品です。
甲田綏郎氏ならではの上質な織のしなやかな素材感をぜひご体感ください。
色柄:無地 中間明度のねず
甲田綏郎氏と「精好仙台平」について
人間国宝 甲田綏郎氏は、昭和4年(1929)1月4日、宮城県仙台市に生まれ、早くから父・甲田榮佑に師事し、伝統的な仙台平の製作技法である精好仙台平を学ばれます。以来、父・甲田榮佑氏の厳しい指導のもとで技術の練磨向上に励み、昭和45年(1970)父の死去にともない、家業の合資会社本場仙台平工場(現合資会社仙台平)を継承されます。ひとすじに仙台平の製作を続け今日に至る間、昭和51年(1976)に宮城県指定無形文化財「精好仙台平」技術保持者の認定を受けます。伝統技術を深く研究してその長所を守り、特色のある意匠の、優れた仙台平を製織することに専念し続けています。平成14年(2002)7月8日、親子2代に渡り重要無形文化財「精好仙台平」技術保持者として認定され、現在に至ります。
「精好仙台平(せいごうせんだいひら)」は、江戸時代から続く伝統的な袴地で、仙台平といえば袴の代名詞となるくらい著名な織物です。仙台、広瀬川のほとりで、今も甲田家だけが代々伝わる技法を守り、織り続けています。
仙台平の工程の中で、特徴のひとつは「濡緯(ぬれぬき)」です。
経糸は、主に藁の灰汁を用いて精錬した撚り糸を引きそろえ、緯糸は撚りのかかっていない糸を何本が合わせて必要な太さの一本にして使用しています。織り上げる際にはこの無撚りの緯糸を、水に濡らして打ち込むことで、よく締まり、独特の張りのある締まった織物になります。水はだらだらになるほど濡らし、糸枠を持ち上げても雫が垂れるくらいにするそう。濡らさないで織ると、何本も合わさった無撚りの緯糸がうまく杼から出てこないそうです。
これまでその作品の多くが、皇室の献上品としても織られ、優れた技術はお墨付きです。細い糸が多色に染め上げられた縞柄は、「霜降り」とも形容され、伝統的なお柄ながらモダンさを感じさせます。体に寄り添うような質感と光沢感、また引き締まった織りからくる、体に添うような贅沢なしなやかさがあり、究極の上質感を感じさせてくれる逸品です。