辻が花染作家 森健持さんの九寸帯作品です。
京都三大染工房「小倉萬次郎」「田畑喜八」「上野為二」の御三家の内の一家、140年以上の歴史を重ねる「小倉家」。友禅染の小倉家が、辻が花染めの小倉家として知られるようになったのは四代目・小倉健亮氏の代からとのことです。(現在は五代目・小倉淳史氏が当主)
森健持さんは、四代目・小倉健亮氏に11年師事され32歳で独立、現在まで辻が花一筋に制作をされています。
淡くおだやかな白ねず地に、珊瑚色と、渋い薄緑の、優しい彩りで染められた辻が花模様。焼き物の織部の柄を映したような味わいのある墨描きが、趣き豊かに。前帯は左右が無地ですっきりとした仕上りです。やわらかで明るいタッチが、帯姿を華やかに演出してくれる、好印象の作品です。
生地は光沢感のあるさらりとした紬素材ですので、単衣から袷まで長く楽しめます。
紬や綿着物に合わせて、ご友人とのランチやお買い物へ。
「辻が花」とは
「辻が花」は、室町時代中期から江戸時代初めまでの間に制作された「絵模様絞り染め」の呼び名です。 鹿の子絞りとは違い、ひとつの絞りが葉一枚、花一輪、その形を表し、それぞれの色に染め分けられています。これは【輪出し絞り】という、とても難しい独特の職人技によるもの。地の色、花や葉の色ごとに絞り、染め、乾燥、糸ときを繰りし、さらには「カチン」という墨で花びらや葉脈を描き、隈取り(ぼかし)を施すという、大変な手間と技術が求められる技法です。
元は女性の小袖として着用されていましたが、後に男性たちにも広まり、武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など時代の頂点を極めた武将たちも愛用していました。また茶人、千利休や古田織部といった方々やその門人たちも折毎に好んで着用するなど、格の高い柄として確立されました。