京都西陣 桝屋高尾のねん金綴錦の袋帯です。
桝屋高尾(ますやたかお)は、名古屋の徳川美術館から「黄金のねん金袱紗」の復元を依頼され、見事に実現させました。500年以上も経過している袱紗は劣化が激しかったそうですが、これまでも正倉院の織物の研究を進めていた実力を認められ、この仕事を成されたといいます。その後、この技術を発展させて確立されたのが「ねん金綴錦(ねんきんつづれにしき)」です。
ねん金とは、真綿糸に金箔を巻きつけるようにして金糸を作る技法です。桝屋高尾は、その真綿糸を様々な糸に染めて、それに金箔を巻きつけた独自のねん金糸を作り出しました。糸の太細のある手引き糸を使うことによって、出来上がった帯にも微妙な凹凸や濃淡のある独特の表情が浮かび上がります。
また手にされると、その軽さに驚かれることと思います、一瞬でその締め心地の良さをご実感いただけることでしょう。
こちらは琳派の尾形光琳が晩年に手掛けた代表作、国宝「紅白梅図屏風」の図を元に制作された意匠です。金銀に青緑の統一的な色使いが品よく、リズム豊かな構成も大変美しい佇まいです。
真綿糸に金の箔糸を巻き付けて織り上げた意匠は深みのある煌めきに満ち溢れて、ため息がこぼれるほどの美しさです。
複雑な色合いや光沢は、ねん金綴錦ならではのもの。
他の織表情は違った、独自の美しい世界観をぜひお楽しみください。